北朝鮮ミサイルの「標的」は日本
Japan In-depth / 2017年9月1日 12時27分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・8月29日、北朝鮮のミサイルが北海道上空を通り太平洋上に落下。
・日本メディアはミサイルが「通過」と書いたが、米メディアは日本国内の米軍基地などが「標的」となった、と書いた。
・日米間のこうした差はなぜ生まれたのか考えるべきであろう。
北朝鮮が8月29日に日本に向けて撃った弾道ミサイルは北海道上空を通り、太平洋上に落下した。日本の主要新聞はこの発射を日本「通過」と総括するところが多かった。ところがアメリカの新聞はこの北朝鮮弾道ミサイルが日本国内の米軍基地などを「標的」として実験発射されたとするのがほとんどだ。
同じ無謀な北朝鮮のミサイル発射でも日本とアメリカの反応の温度差は顕著である。やはり日本では核やミサイルの脅威がつい目先に存在するにもかかわらず、反応は鈍いといえそうだ。
北朝鮮の「火星12」と称されるこの中距離弾道ミサイルは約2700キロを飛び、北海道の襟裳岬の東の太平洋上に落ちた。このミサイル発射を朝日新聞8月30日朝刊(国際版)は「北朝鮮ミサイル 日本通過」という大見出しで報道した。脇の見出しには「2700キロ飛行 『グアム射程』誇示か」とあり、北朝鮮の狙いはまずグアムであるかのような総括の表現だった。ここで強調されたのは「通過」という言葉であり、このミサイルがあくまで日本の上空を単に通っていくという印象だった。
日本経済新聞8月30日朝刊(国際版)の記事も主要見出しは「北朝鮮ミサイル 日本通過」だった。同時に「日本領域への落下物や飛行機や船舶への被害情報はない」点を強調していた。ここでもこのミサイルはただ日本領土のはるかの上空をなにごともなく飛んでいった、という感じの描写なのである。
一方、アメリカの主要新聞でみる反応は異なっていた。ワシントン・ポスト8月30日付は「北朝鮮の完全に計算された発射」という見出しの記事で、アメリカ側専門家たちの意見の総合として「北朝鮮は今回は慎重にグアム島の米軍基地は狙わないが、日本国内のどこでも標的としうる能力を誇示した」という点を強調していた。
弾道ミサイルは日本の上空を通過はしたが、北側の意図はあくまで日本を標的として、日本国内のどの拠点でも撃てる能力の明示だという解釈だった。
ワシントン・タイムズ同日付の記事も「この弾道ミサイルはグアム島の米軍基地を標的とはしなかったが、アメリカの重要な同盟国である日本を標的とした」という複数の専門家たちの
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
「世界から丸見えですよ」いや見せてる…? “超巨大カー”に乗せた北朝鮮のミサイル その真意
乗りものニュース / 2024年11月27日 16時12分
-
プーチン露大統領、新型中距離弾道ミサイルの「実験を継続」表明…最大速度はマッハ11以上か
読売新聞 / 2024年11月23日 22時2分
-
迎撃不能…プーチン氏が警告 “音速の10倍”新型の中距離弾道ミサイルでウクライナを攻撃
日テレNEWS NNN / 2024年11月22日 20時10分
-
露“新型ミサイル発射” ゼレンスキー大統領「戦争の拡大と激化へのステップだ」
日テレNEWS NNN / 2024年11月22日 12時8分
-
韓国軍、黄海地域でミサイル迎撃訓練…北朝鮮ミサイルへの対応能力誇示
KOREA WAVE / 2024年11月11日 12時30分
ランキング
-
1建築火災の専門家「密閉的な空間で放火されたらどうしようもない…」札幌すすきの“ガールズバー”爆発火災 火を放った疑いの41歳男性と20代女性従業員の間で交際トラブルも
北海道放送 / 2024年11月27日 19時56分
-
2玉木氏「パフォーマンスなので」 企業・団体献金の禁止めぐり 国民民主が野党協議欠席
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月27日 18時21分
-
3出品者に情報提供求める=アマゾンジャパンの独禁法違反―公取委
時事通信 / 2024年11月27日 19時31分
-
4斎藤元彦知事の代理人、PR会社経営者の投稿は「事実を盛っている」…広報全般を任せた「事実ない」
読売新聞 / 2024年11月27日 20時27分
-
5国民民主・玉木氏、異例の官邸訪問=石破首相に原発新増設を要望
時事通信 / 2024年11月27日 20時9分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください