EVシフト急加速のヨーロッパ
Japan In-depth / 2017年9月12日 11時0分
Ulala(ライター・ブロガー)
「フランス Ulala の視点」
【まとめ】
・仏、2040年までにガソリン車、ディーゼル車販売禁止。
・中国、インドもEVシフト鮮明に。
・日本の自動車メーカーはこの潮流に乗ることができるか岐路に差し掛かっている。
フランスではユロ・エコロジー相により2040年までに国内でのガソリン車、ディーゼル車の販売を禁止する方針が示されました。フランスに続いて英国もガソリン車の販売禁止を打ち出し、ヨーロッパのEV(電気自動車)シフトが急速に進み始めています。
▲写真 仏ニコラス・ユロ(Nicolas Hulot)エコロジー相 出典:仏政府HP
EVへの方針を打ち出した背景には、フランスではディーゼル車も日本のようには規制されておらず、公害物質を多く出す旧型車が流通しています。
近年、パリなどの都市部では大気汚染が問題化。そんな状況に追い打ちをかけるかのようにディーゼル車の機能向上で環境への影響を軽減する計画だったのにもかかわらず、フォルクスワーゲンやプジョーなどの主要自動車メーカーでディーゼル車排ガス不正疑惑が露見したことがあります。
▲写真 2010ワシントン自動車ショーに展示されたVWゴルフTDIクリーンディーゼル 2010年1月 出典:Photo by Mariordo
しかしながらヨーロッパに限らず、大気汚染が問題になっている中国、インドでもEVに切り替える計画も持ち上がり、EVシフトは世界的な動きとなりつつあると言えるでしょう。
▲写真 インド デリーの交通渋滞 Flickr Photo by Lingaraj GJ
そこで、日本もEV開発を進めていくことが当然のように思えてきます。が、しかし、すでにディーゼル車による大気汚染も大幅に規制されており、旧タイプの車もあまり見かけない、その上、二酸化炭素の発生源になる火力発電に依存が大きい現在の日本には、EVシフトが効果的なのかは少し疑問です。
フランスと同じく原子力発電に力を入れてきた日本ですが、2011年の震災以降、原子力発電停止の要望が高まり、現時点では日本で電気を作るための化石燃料の使用量が増大。フランスが77%を原子力で発電しており、化石燃料の使用量は全体の2%というのに比べ、2015年に日本で発電に使われた石炭・石油・LNG等化石燃料の占める割合は全体の約85%を占めています。そこにはEVで町中の大気汚染量を減らしても、発電側で増える可能性もあるという現実が見えてくるのです。
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