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北朝鮮の脅しに屈するな

Japan In-depth / 2017年9月21日 9時6分

ならず者国家やIS(イスラム国)のような組織が核兵器を保有する誘引となり、核兵器や弾道ミサイルの拡散を加速させかねないからだ。

ところで、北朝鮮の核・ミサイルの開発について、軍事的・技術的な面から留意しなければならない点がある。それは、北朝鮮の脅威を過小評価してはならない一方、アメリカを壊滅させる核・ミサイル計画を完成させたという主張を真に受けるのも危険ということだ。

水爆実験に成功したことは確実とみられるが、ICBMに搭載可能なまでに弾頭を小型化する技術と摂氏7,000度に達する高温に耐えつつ弾頭を起爆させる大気圏再突入技術の点では未だに大きな疑問符が残る。我が国や米国をはじめとする国際社会が北朝鮮のブラフに怯えて、妥協するようなことがあってはならない。

北朝鮮の核・ミサイルを巡る問題は1990年代初め以降年々深刻さを増してきた。北朝鮮は、1993年、ノドンミサイルを日本海に向けて発射、1998年にはテポドン・、ミサイルを我が国の東北地方上空を通過させている。

それ以来、四半世紀にわたり、弾道ミサイルと核兵器の開発を続けてきた結果、この分野に関する限り北朝鮮の能力は数段高くなっており、おそらく各種ミサイルの備蓄量も増加していると考えねばならない。

一方、この間、米韓両国は通常兵力の近代化を進めてきた。この結果、1990年台前半の朝鮮半島危機当時と異なり、通常兵力の面では米韓側が圧倒的な優位にある。特に精密誘導兵器近代化は顕著であり、いわゆる外科手術的攻撃によって核施設などを破壊する能力は高い。

▲写真 対北朝鮮空対地爆撃訓練を行う米空軍・海兵隊と韓国空軍(韓国ピルスンレンジにて)2017年9月18日 出典:flickr/U.S. Pacific Command Photo by U.S. Army photo by SSgt. Steven Schneider

また、例えば北朝鮮が非武装地帯の近傍に配置し、ソウルを「火の海」にすると脅迫する長射程砲兵や短射程ミサイルを破壊する能力も格段の進歩を遂げている。とはいえ、地下施設に配置された数千門と言われる火砲全てを事前に破壊することは極めて困難だ。

例えば米国が核施設に対して外科手術的攻撃を行う場合、北朝鮮からの反撃によって、ソウルが「火の海」になることはないとしても、一般市民の被害を絶無にすることは至難と考えるべきだ。

▲写真 北朝鮮の砲撃を受ける延坪(ヨンピョン)島 2010年11月23日 出典:flickr/ Republic of Korea Armed Forces

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