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NHKネット配信課金ありきに「?」

Japan In-depth / 2017年9月21日 11時25分

また、これらの子会社の利益剰余金は2016年3月末時点で948億円である。受信料引き下げの原資になりうるのではないか?会計検査院に指摘されるまでもなく、検討し、視聴者に説明すべきだろう。籾井勝人前NHK会長が提起した「受信料の値下げ議論」はどこに行ってしまったのか?

▲写真 籾井勝人前NHK会長 Photo by L-Crt.Rocks are Trad.Jap.Terr.

 

こうした諸問題に何の解決の糸口も示さず、視聴者に丁寧な説明をしてもいない。それで「ネット課金」といわれてもすんなりと「はい、そうですか」という人はいないだろう。

元民放の人間として民業圧迫の見地から反対しているのではない。年間予算7000億円(2019年度予算)を超す巨大公共放送事業者として、なぜ「ネット同時配信」と「ネット課金」が必要なのか、現時点で納得のいく説明がないことを指摘しているのだ。

NHKの受信料推計世帯支払率は78.2%(2016年度末:対前年度比プラス1.3%)である。微増傾向であることは同慶の至りだが、それでも5人に1人は払っていないというのはいかにも不公平感がある。そもそもテレビが自宅にない家庭も多い中、受像機がある家庭は受信料を払わなければならない、という古色蒼然たる放送法はこのネット時代に全くそぐわない。(注1:放送法64条)その改正論議が盛り上がらないのも不可思議な話だ。

NHKには予算が潤沢にあるがゆえに優れた番組がたくさんある。それは自他ともに認めるところだろう。先進技術の開発力もある。これからも良質の番組を作り続けるためにはどうしたらいいか、原点に返って考えるべきだろう。賛否両論あろうが、民放の真似をしてド派手なスタジオセットを設え、民放のバラエティかとみまがう番組の量産を視聴者は望んではいないのではないか?

NHKの経営陣にはよくそこのところを考えてもらいたい。また、総務省も「ネット同時配信」の議論を深めるために、国民の意見を吸い上げてもらいたい。さもなくば、これまで築いてきた民放・NHKのすみ分けや、広告収入がメインの民放のビジネスモデル、さらには地方局の存在意義、経営基盤そのものが揺らぎかねない。

 とはいえ、ネット時代にいつまでも過去のシステムにしがみついていては進歩はない。国民の知る権利が毀損されないよう幅広い議論を「迅速に」進めるべきだろう。

 

注1)【放送法第64条(受信契約及び受信料) 】

第1項  協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。第126条第1項において同じ。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。

参考)

NHK「インターネットのサービス よくある質問集」

NHK「インターネット実施基準」

TOP画像:NHK放送センター(東京都渋谷区) Photo by Rs1421

 

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