歪んだ世界の日本観1 かっこいい日本と残酷な日本
Japan In-depth / 2017年9月30日 9時50分
だから私は、その称賛と批判の二つの面を「クール・ジャパン(cool Japan)」と「クルーエル・ジャパン(cruel Japan)」と呼んでいます。
古森義久(産経新聞ワシントン駐在客員特派員):さてまずここでキンモンス先生の紹介を兼ねて、この対談の背景をちょっと説明させていただきます。私は毎日新聞や産経新聞の記者として長年、国際報道に携わり、とくにワシントンで通算20数年を過ごしました。その間に、アメリカ側の日本研究者、アジア研究者たちとの取材のための接触も多くありました。また米欧のそうした専門家やジャーナリストが日本を論じ、分析し、批判することにもいやというほど接してきました。
その過程でもう10年以上も前になりますが、アメリカの学者、研究者を中心とする日本関連のインターネット論壇のNBR(The National Bureau of Asian Research)という略称の意見交換の場があり、そこでキンモンス先生の存在を知ったのです。
日本での出来事や傾向、人物などを論じるのに、ずいぶん独断や偏見も多いのですが、キンモンス先生の意見はいつも現実をしっかりと把握して、しかも日本や日本人を上からの目線で断じることがない。さらに根拠のない独断的日本論には果敢に論戦を挑んでいく。そんな特徴からキンモンス先生に強い興味を抱き、今回の私の日本滞在でやっとご本人に直接、お目にかかる機会を得ました。
さていまキンモンス先生が指摘されたのは残酷という意味のcruelですね。つまりクールでかっこいい日本と、残酷な日本がある。
キンモンス:クルーエル・ジャパンは、たとえば自殺者が多いとか、暴力をふるって女性を虐待するという偏見に満ちたイメージです。
年齢層によって日本に対するイメージは違う。私の教え子の世代では、たとえば日本のアニメが大好きで、日本人にもいい印象を持っている。しかし、もっと上の世代では日本と日本人に対する偏見はかなり根強いものがある。その差が激しいのです。
それは歴史問題というよりも社会的な問題だと思います。だからこの十何年間、私の授業では日本の社会問題を取り上げて、歴史よりもむしろ社会学のようなものを講義している。たとえば「パラサイトシングル」「ひきこもり」「登校拒否」「過労死」「援助交際」などの問題です。外国人留学生はマンガやアニメやコスプレとかについては私よりもはるかにくわしいので、そういう方面については学生に教えてもらっていますが(笑)。
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