歴史的役割終えた「左派リベラル」
Japan In-depth / 2017年10月3日 15時12分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
宮家邦彦の外交・安保カレンダー2017#40(2017年10月2日-8日)
【まとめ】
・日本では「左派リベラル」勢力が歴史的役割を終えた。「新党ブーム」3度目の正直となるか。
・米中間で朝鮮半島の将来に関する妥協が成立する可能性は低い。
・スペインカタルーニャの独立派指導者ら独立宣言する可能性もある
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今週筆者が最も気になったのは米国務長官の訪中だった。予想通り、北朝鮮問題で大きな進展はなかったようだ。米大統領は国務長官に「時間の無駄」だと伝え、長官は長官で大統領のツイート発言などが米国政府の基本的政策から逸脱しないよう、必死でバランスを取ろうとしている。驚くべきことだが・・。
考えてみれば当然だろう。中国が今、核ミサイル問題で北朝鮮に対し態度を硬化させる可能性は低い。5年に一度の党大会を18日に控え、米国からの圧力に簡単に屈する訳にはいかないからだ。少なくとも10月は、そして恐らくは年内は、米中間で朝鮮半島の将来に関する妥協が成立する可能性は低いだろう。
一方、今週日本での最大のハイライトは衆議院解散後の民進党に起きたゴタゴタではなかろうか。この政治現象、どうやら新しい要素と古い要素が混じり合っているようだ。それらを区別せずに議論するから、混乱が一層拡大しているのだろう。筆者の現時点での見立ては次の通りだ。
まずは、古い要素から始める。「新党ブーム」といえば、1990年代と2000年代にそれぞれ起きたが、その後一体何が改善したか。90年代には新政権が短期間続いた後、自民党・社会党の連立が始まった。2009年にも政権交代が実現したが、新政権では3人の総理大臣が生まれたものの、3年しか続かなかった。
新しい要素は、何と言っても、戦後の「左派リベラル」勢力がその歴史的役割を終え、本格的な淘汰の時代に入ったらしいことだ。左右の様々な勢力が合体して出来た民主党・民進党は、結果的に、本格的な統治能力を示すことができなかった。されば、同党の事実上の分裂は時間の問題だったのだろう。
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