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米で北朝鮮核武装容認論浮上

Japan In-depth / 2017年10月4日 9時31分

 

いずれも民主党政権の高官だった人物たちの新たな容認論である。

 

 アメリカの歴代政権は1990年代から共和、民主の党派を問わず、一致して北朝鮮の核開発は絶対に容認できないという立場をとってきた。オバマ政権で国家安全保障問題担当大統領補佐官スーザン・ライス氏含め、この3人ともみな政権内にあったときはその絶対阻止論を主張してきた。だからそうした民主党系の人物たちのここにきての共和党トランプ政権の政策への反対意見には政治党派性もにじむ。

 

写真)スーザン・ライス氏

出典)U.S. State Dept.

 

トランプ政権は当然ながら、これらの容認論を断固、排した。

 

H・R・マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)は「ライス氏の主張はまちがっている」と断じた。北朝鮮が一般の国家の理性や合理性に従わない「無法国家」だから東西冷戦時代に米ソ間で機能した「伝統的な抑止」は適用できないと反論した。

 

写真)H・R・マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)

出典)U.S. Army Public Affairs

 

トランプ政権外でも北朝鮮の核武装阻止の思考がなお圧倒的多数であり、容認論の危険性を指摘する向きが多い。

 

その容認論の危険はまとめると以下のようになる。

 

 第一は核不拡散条約(NPT)態勢の崩壊の危険性である。

 アメリカも他の諸国も北朝鮮の核武装をNPTの枠組みと規範に基づき阻もうとしてきたが、その核武装容認はこの態勢自体を崩しかねない。北朝鮮が核兵器の技術や部品を他国に流す展望や「韓国や日本も核開発へ進む」という可能性もNPT態勢の破綻となる。

 

 第二は北朝鮮が核兵器の威力を自国の野望に悪用する危険性である。

北朝鮮は韓国を国家と認めず、朝鮮半島の武力統一をも誓い、米軍撤退を求める。無法国家として国際テロを働く。こうした北朝鮮の国家としての好戦的な基本姿勢が核武装によりさらに尖鋭かつ過激となり、いま以上の国際的脅威となる。日本も当然、その脅威を受ける。

 

   第三はアメリカの日本に対する「核の傘」がなくなる危険性である。

アメリカ歴代政権は「拡大核抑止」として日本への核の攻撃や威嚇に対しその敵への核での報復を誓約してきた。トランプ政権も同様である。だが北朝鮮がアメリカ本土への核攻撃もできるとなり、その北朝鮮の能力を容認するとなると、アメリカは自国の莫大な被害を覚悟してまでの日本のための核使用をためらうことも予測される。日本へのアメリカの拡大核抑止が空洞化する危険性である。

 

日本でも北朝鮮の核武装の容認論はさまざまな形で表明されている。そうした主張の日本自身にとっての危険は上述のとおりなのである。

 

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