日本女子柔道トップが米で指導
Japan In-depth / 2017年10月10日 22時6分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・日本女子柔道トップ級選手、田知本愛選手が米海軍士官学校で指導に当たった。
・2010年の井上康生氏の来訪から始まり、翌年から「トモダチ作戦へのお礼」として日本から柔道家が渡米。
・こうした柔道交流は日米間の交流の中でも、きわめて異色で、実効のある活動だといえる。
「アメリカ海軍が日本の大震災で実行してくれた救援のトモダチ作戦へのお礼を兼ねた柔道交流がまたできて、とてもうれしいです」
ワシントン郊外のアナポリスにあるアメリカ海軍士官学校での日本女子柔道界のトップ級選手、田知本愛さんの柔道指導は彼女自身のこんな挨拶から始まった。
相手は同校柔道部の男女30人ほど、みな4年の学習を終えて卒業すれば、アメリカの海軍や海兵隊の将校になる大学生たちである。
United States Naval Academy、つまり「アメリカ海軍士官学校」は1845年に創設された伝統ある教育機関である。日本では海軍兵学校と訳される場合も多いが、日本の帝国海軍時代の海軍兵学校という名称と重ねあわせる日本語訳だといえよう。アメリカの陸軍士官学校は日本側では誰も陸軍兵学校と呼ぶ人はいない。
アメリカ海軍士官学校は現在、学生数は約4500人、全米各地から選ばれた文字どおりのエリート男女たちの学業と訓練の場である。
さてこの施設を訪れた田知本選手は東海大学出身の28歳、全日本女子選手権で優勝したほか、世界選手権など数々の国際大会の78㌔超級でメダルを得てきた現役の世界級柔道家である。いまは綜合警備保障に勤めながら筑波大学の大学院でも学ぶ。
同選手は東海大学主体の柔道国際普及団体「柔道教育ソリダリティー」(山下泰裕理事長)から送られてきた。この士官学校柔道部との交流計画で、日本側の一流選手が数週間、同校に通って指導にあたるのだ。
同計画は2010年の井上康生氏の来訪から始まり、翌年からは「トモダチ作戦へのお礼」の意味をもこめるとして毎年、実施されてきた。今回は田知本さんが選ばれ、8月末から9月中旬までの約3週間、毎週3,4回という頻度で海軍士官学校柔道部での指導と練習にあたった。
田知本さんは今回の初日には士官候補生たちにまず得意の大外刈を解説した。その後、さっそく自由な乱取り稽古となり、同選手は男女の別なく豪快に投げて、まず投げ技の基本を実践する形となった。
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