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独裁者マルコスの再来か ドゥテルテ比大統領

Japan In-depth / 2017年10月11日 12時55分

フィリピンではマルコス時代の戒厳令により、反体制の学生や運動家が(戒厳令で特権をもった)治安部隊の過剰な対応で殺害、拷問、強制連行、行方不明という人権侵害が深刻化した。こうした経緯から、「戒厳令」への警戒感が国民の間に根強いという特別な事情と背景がある。

マラウィ市での戦闘で当初数百人規模といわれた武装勢力側は、国軍の作戦で現在数十人までに減少したとされているが、いまだに完全には鎮圧されていない。これは事態の全面的解決による「戒厳令解除」を回避し、その間にミンダナオ島の他の地域で活動する反政府組織や武装勢力の一掃をドゥテルテ大統領が狙っている、という政治的理由が指摘されている。

そこへきて最近、NPAが各地で国軍や警察と交戦する事態が増えていることを踏まえて、「NPA、共産勢力との全面対決に戒厳令を利用しようと画策している」のがドゥテルテ大統領の思惑ではないかとの見方も出ている。

ミンダナオ島での戒厳令はマラウィ市での戦闘、というそれなりの「根拠」がある。もっともそれすら下院会員のなかから「ミンダナオでの戒厳令は憲法の定める侵略、もしくは反乱という要件を満たしていない」と、最高裁に差し止め訴訟を起こされたほど抵抗は強い。

それが共産勢力との交戦が各地で相次いでいるといっても、「侵略や反乱」に該当するかというとそのレベルではなく、戒厳令の全土拡大となればさらなる反発や抵抗が予想される。そのためにとりあえず観測気球をあげて反応を見て、そのうえでロレンサナ国防相による「火消し発言」となったことは十分に考えられるであろう。

▲写真 2017年9月21日にマラウィ市を訪れた比ドゥテルテ大統領 Photo by the Presidential Photographers Division 出典:Presidential Communications Operations Office、Republic of Philippine

 

■ 反独裁・専制運動をドゥテルテ警戒

9月21日にマニラ市リサール公園で予定された大規模集会は、元上院議員や大学学長などが8月28日に設立した「反専制政治運動(以下、MAT=Movement Against Tyranny)」が呼びかけているもので、マルコス元大統領が1972年9月21日に戒厳令の大統領令に署名したことにちなんでいる。

しかしMATでは、ドゥテルテ大統領が「戒厳令の全国拡大で、治安を乱す全ての人たちの逮捕を命じることになんら躊躇しない」という発言などを根拠にして、麻薬関連犯罪容疑者らに対する超法規的殺人という強硬手段と並んで専制色、独裁色を強めようとしていると提言。ドゥテルテ大統領の政治姿勢を問う集会を計画している。

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