「失望の党」悪いことばかりじゃない
Japan In-depth / 2017年10月12日 14時45分
安倍宏行(Japan In-depth 編集長・ジャーナリスト)
「編集長の眼」
【まとめ】
・小池氏不出馬で「希望の党」への“風”は止んだ。
・無党派層含め、有権者が冷静に候補者を見定める機会となった。
・今回の選挙は「改憲推進」選挙。
小池都知事は、衆院選出馬を見送った。小池氏の深謀遠慮の解説記事はあまたあれど、真相は本人のみぞ知る。後講釈は意味がない。
そもそも、小池氏が出馬しなかったことで、「希望の党」への期待が急速にしぼむことは容易に想像が出来た。去年7月の都知事選、今年7月の都議選は、「小池旋風」が吹き荒れたからこその大勝だった。
しかし、「風」は気まぐれなものだ。いつも吹き続けるわけではない。風向きが突然変わることはしょっちゅうなのだ。1年以上吹き続けてきたことが、ある意味異常なことだった。
大衆は飽きっぽい。「政治はテレビが作る」と誰かが言った。それは言い過ぎだと思うが、一定の影響力はある。しかし、それは諸刃の剣であって、プラスにもなるがマイナスにもなるのだ。都知事の職を投げ出すことへの批判は当初からあったが、「でも、女性初の宰相を見てみたい気もするわよね。」とか、「小池さんとトランプの2ショット、実現したらちょっと面白くない?」なんて声も確かに巷にあった。
しかし、政権交代を標榜しながら首相候補を明らかにしなかったり、消費税凍結や原発ゼロといったポピュリズム政策をぶち上げたのは、明らかにマイナスに働いた。次第に、「小池さんって何をしたいの?」という声が大きくなっていった。それでも最後までもしかしたら都知事の職を投げうって衆院選に出馬するのでは?との憶測は根強かった。
しかし。ふたを開けてみれば結局不出馬。希望の党公認候補者は梯子を外された。いや、小池総理誕生にちょっぴり期待した有権者も、だ。とにかく、本人が出ると出ないでは大違い。熱狂はもはや、ない。そうなってくると有権者もいきおい冷静になり、一人一人の候補者の資質をよく吟味するようになる。
これはある意味いいことだ。単に風に乗って投票していた無党派層が慎重に投票する機会となるだろう。なにせ今回は野党側が分裂し、複雑だ。民進党の議員は、離党して希望の党から出馬している人もいれば、同党の公認を得ただけの人もいる。無所属で戦う人もいれば、立憲民主党立ち上げ組もいる、といった具合だ。自民党を離党して希望の党から出馬している議員もいたりする。
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