オーストリア31歳首相誕生へ
Japan In-depth / 2017年10月17日 8時44分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2017#42(2017年10月16-22日)
【まとめ】
・オーストリアで15日総選挙。中道右派・国民党が第1党となりクルツ党首が世界最年少首相へ。
・18日から中国共産党党大会。習近平氏の再選間違いなし。
・イラク北部、イラク軍とクルド勢力による軍事衝突を懸念。
・16日から米韓両軍が共同訓練開始。
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欧州でも恐れていた事態が起きた。15日のオーストリア下院総選挙で、難民・移民受け入れに厳格な中道右派の国民党が勝利し、極右の自由党も躍進したという。国民党のクルツ党首は自由党との連立の可能性を示唆したが、政策を「右旋回」させた国民党の勝利により同国内政の右傾化が鮮明となった。決して良い兆候ではない。
〇中国
日本の総選挙以外で今週の最大関心事は、18日から始まる中国共産党の第19次全国代表大会、いわゆる党大会だろう。最近の党大会は5年に一度の開催で会期は数日間。その後、新しい中央委員会の第一次全体会議(1中全会と呼ばれる)が開かれ、習近平総書記の二期目の指導部人事が決まる予定だ。
写真)中国共産党第十七次全国代表大会 Photo by H47H
中国共産党の党員数は8900万人といわれ、党大会に出席する代表だけで2287人もいる。彼らが党規約を改定し中央委員を選ぶのだが、総書記等の最高指導部の選出は党大会ではなく1中全会であり、恐らく概要は既に決まっているだろう。5年に一度のお祭りだから、ありとあらゆるゴシップがいつも流れる。
習近平氏の再選は間違いなく、噂の対象は中央委員が選ぶ25人程度の政治局員、更にはその中から選ばれる政治局常務委員の人数と陣容だ。15年前、北京の日本大使館にいた頃は、誰が昇進するか、失脚するか、一つ一つの噂話に振り回されたものだが、この歳になるとあまり細かいことは気にならない。
誰がなるにせよ、習近平氏の権力は絶大であり、大きな流れは変わらない。むしろ問題は、こんなことをいつまで続けるのか、いつまで共産党の「指導」という名の独裁システムが「持つ」のかである。エジプト、イラク、中国という独裁国家に住んだ筆者の経験では、独裁システムは簡単には崩壊しない。
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