大山鳴動して鼠一匹 衆院選2017
Japan In-depth / 2017年10月24日 11時0分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2017#43(2017年10月23-29日)
【まとめ】
・衆院選、自民党は公示前と同じ284議席獲得、与党で衆院の3分の2維持。
・立憲民主党は15議席から55議席と野党第1党となった。
・リベラルと左派は、立憲・共産・社民合わせて70にも満たない勢力となった。
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〇衆院選
先週末の衆院選では自民党が追加公認を含め公示前と同じ284議席を獲得、29議席の公明党と合わせ313議席となり、与党で衆院の3分の2を維持した。
一方、立憲民主党は15議席から55議席を獲得し野党第1党に躍進したのに対し、希望の党は50議席にとどまった。要するに、大山鳴動して鼠一匹ということか。
今回の選挙は誤算の連続だった。第一の誤算は安倍首相の解散決断だったはずだが、これは第二のより深刻な誤算、すなわち小池都知事の「排除」と「都知事続投」発言に救われた。第三の誤算は民主党参議院幹部の「再結集」発言だったが、これも希望の党の低迷と立憲民主党の大躍進で帳消しとなった。
▲写真 小池百合子東京都知事 Photo by 江戸村のとくぞう
今回の総選挙の開票速報はウクライナの首都キエフで見ていた。この原稿は帰国前の経由地ミュンヘン空港で急いで書いている。それもこれも、すべてインターネットのお蔭ではあるのだが、一昔前ならとても考えられなかった。実に有り難いことである。
一方、CNNなどは日本の与党の地滑り的勝利を淡々と報じていた。やはり、選挙区ごとの勝敗とそれに伴う喜怒哀楽に関する報道では日本のメディアに一日の長がある。やはり、選挙の雰囲気を知るには現地での取材に勝るものはないだろう。
今回の選挙をマクロで見れば、与党で3分の2という大勢に変化はない。強いて言えば、躍進したとはいえ、リベラルと左派が立憲・共産・社民の55+12+2で70にも満たない勢力となったことぐらいだろうか。これまで左右混淆の民主党によりリベラルと左派が過大評価されてきた状況は変わりつつあるのか。
▲写真 立憲民主党枝野幸男代表 出典:立憲民主党HP
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