究極の「負け惜しみ」 朝日の総選挙評
Japan In-depth / 2017年10月25日 22時28分
朝日新聞10月23日朝刊の一面に堂々と載ったこの記事は「ゼネラルエディター兼東京本社編成局長 中村史郎」という筆者名だった。編成局長というのはおそらく従来の編集局長、いわば紙面作成の最高責任者とみてよいのだろう。ちなみに私はこの中村氏を個人的に存知あげている。十数年前、北京在勤中の特派員同士だった。なかなか感じのよい、さわやかな記者だった。だがそれとこれとは別であること、言を俟たない。
この総選挙総括の記事(リンクはWeb版)はまず「『1強』政治 見直す機会に」という見出しだった。この記述では選挙の前の記事を思わせる。いまの自民党政権の政治を「1強」と評すことの適否はともかく、現状を見直す機会に、という意味だろう。だったら当然、これからの選挙にのぞむ、というスタンスを思わせる。だが実は選挙が終わっての総括なのに、いかにも日本の政治をこれから「見直す機会に」というのだ。選挙結果を素直に認めたくない悔しさが露骨である。負け惜しみとは、こういう態度を指すのかとまで感じた。
記事の内容を紹介しよう。
≪国政選挙で連勝街道を走ってきた安倍晋三首相は、今回も圧勝した。しかし、内心苦い思いが残ったのではないか。首相は「まだ私は自民党に厳しい視線が注がれている」と認めた。「安倍1強」の変化を求める民意の兆しを感じたに違いない≫
以上が書き出しだった。安倍氏は「圧勝」したのに、「内心苦い思いが残った」というのだ。
なぜそんな断定ができるのか。だれでも圧勝すれば、うれしいだろう。だがそうではないと断じる中村記者の「苦い思い」が伝わってくる自己閉塞ふうの記述である。
そのうえで「『安倍1強』の変化を求める民意」だというのだ。いまの政治状況を「安倍1強」と評するのは朝日新聞の反安倍、反自民党のスタンスからの主観的な描写である。こんどの選挙で問われたのは当然ながら政治の現状だった。その現状を国民の大多数が認めたのだ。現状の変化を求めない民意が証明されたのだ。
つまりは「安倍1強」なる状況の変化を求めない民意の表明がこんどの総選挙の結果だったのだ。であるのに「変化を求める民意」を強調するのは朝日新聞の単なる願望に過ぎない。客観的な論拠はない。
さらに続きを紹介しよう。
≪首相自らが招いた逆風下で、安倍政治そのものが問われた選挙だった。(中略) 「安倍ブランド」にかつての強さはない。(中略) 有権者は引き続き自公に政権を託したが、一方で長期政権に対する飽きや嫌気を感じている≫
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