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現実的に考えよ「北の脅威」 金王朝解体新書その12

Japan In-depth / 2017年10月28日 18時0分

▲写真 北朝鮮の潜水艦 1996年 出典:Public Affairs, U.S. Forces Korea

この呼称から分かるように、日本も含め世界的には、通常型しか保有していない国の方が多いのだが、北朝鮮の場合、旧ソ連で設計されたW(ウィスキー)級やR(ロメオ)級が未だ現役にとどまっているのだ。

W旧の原型はナチス・ドイツのUボートのコピーで、その拡大改良型がR級だと言えば、いかに古色蒼然たる装備か、いくらかは想像がつくであろうか。

もちろん、骨董品のような潜水艦だからと言って、まったく驚異にならないということはない。2010年3月に、韓国海軍の哨戒艇チョナン(天安)が沈められたことを、ご記憶の向きも多いだろう。(トップ画像)

もっとも、この事件は当初こそ北朝鮮の潜水艦による奇襲攻撃に違いない、と考えられたが、当の北朝鮮は、「そのような攻撃は行っていない」と一貫して否認しており、韓国のマスコミでも、韓国が放置した機雷に触れたのではないかとか、米原潜と衝突したのではないか、といった憶測が流れるようになった。あり得ない話だとまでは言わないが、沈没現場付近で北朝鮮製の魚雷の破片が発見された、という報道はなんだったのか。

韓国の人たちが、北朝鮮の脅威をあまり真剣にとらえていない、と言われるのも、北朝鮮の食糧不足・電力不足、それに軍備の旧式化が著しいことを、日本人よりもよく知っているから、という側面がある。

キム・ジョンウン(金正恩)委員長が、核兵器と弾道ミサイルにこだわるのも、通常兵器を用いた戦争では、米国はおろか韓国にも勝てないことをよく知っているから、という点でも、軍事関係者の大多数の見方が一致している。

別の言い方をすれば、北朝鮮の現体制が生き残りを託す頼みの綱が核兵器なのだ。だから、北朝鮮が本気で日米と事を構えるとは考えにくいのだが、偶発的な衝突や事故こそが真の脅威であると私は考える。Jアラートが「オオカミ少年」と化す事態こそ憂うべきなのだ。

▲写真 北朝鮮の弾道ミサイル「火星12」 出典:CSIS Missile Defense Project

ここで、前回私が開陳した議論を思い出していただきたい。

アジアでは今も冷戦構造が解消されておらず、それが北朝鮮という国家を生かす原動力になっている。

ロシアと中国が、朝鮮半島の非核化についてもっと真剣にならない限り、北朝鮮の脅威がなくなる望みは、残念ながらかなり薄いと言わざるを得ない。

トップ画像:北朝鮮の潜水艦の魚雷で沈没する3日前、2010年3月に海上で進行中の天安。 出典/韓国国軍韓国軍

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