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北朝鮮の脅威はどの程度? 金王朝解体新書その13

Japan In-depth / 2017年10月28日 23時0分

北朝鮮の脅威はどの程度? 金王朝解体新書その13

林信吾(作家・ジャーナリスト)

「林信吾の西方見聞録」

【まとめ】

・北朝鮮軍は装備が旧式で、「動く軍事博物館」とまで言われている。

・しかし、多数の重砲が火を噴いた場合、ソウルは火の海となる可能性がある。

・NBC(核兵器、生物兵器、化学兵器)の存在が米を脅かす交渉カードとなっている。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真の説明と出典のみ記載されていることがあります。その場合はhttp://japan-indepth.jp/?p=36906で記事をお読みください。】

 

なぜか総選挙で与党の宣伝に利用されている「北朝鮮の脅威」だが、本当のところ、朝鮮人民軍(以下、北朝鮮軍)は、どのくらい強いのだろうか。

『ミリタリー・バランス』などによれば、北朝鮮軍は現役120万の兵力を擁しており、韓国軍(65万)と在韓米軍(2万5000)、さらには自衛隊(25万)を全部合わせたよりも多い。

なにしろ、17歳になると男女ともに徴兵され、兵役期間も部隊によっては10年に達する(一説によれば、女性は最大7年)。

加えて、予備役が470万人、労農赤衛隊と呼ばれる民兵が350万人、保安部隊が20万人近くおり、国民皆兵の体制が確立されている。規模の点では、中国人民解放軍に次ぐ世界2位だ。

とは言え、逼迫する経済事情の中、現役部隊も道路工事や漁業に動員されているというのが実情で、後で触れる特殊部隊を別として、練度はあまり高くない。

それにもまして深刻なのが、装備の旧式化である。本シリーズではすでに、潜水艦戦力に着目し、保有数だけ見れば世界一であるが、第二次大戦の遺物のような艦がいまだ現役に留まっているなど、あきれるほどの旧式ぶりであると述べた。

一事が万事という言葉があるように、陸軍や空軍の装備についても、各国の軍事専門家の間では、「動く軍事博物館」などと評されている。

陸軍の例をひとつ挙げれば、牽引式の大砲3500門に加え、戦車の車体を利用した自走砲4400輛、さらに多数の多連装ロケット砲を備えており、うち600ないし1000門は、38度線の北側からソウルを直接狙えるほどの射程距離を持つとされる。数が曖昧なのは、多連装砲の数え方によるものだろう。いずれにせよ、ものすごい数だ。

ところが、対砲レーダーがない。対砲レーダーとは耳慣れないが、敵から砲撃を受けたような場合、弾道を解析して瞬時に発射地点=砲の位置を割り出せるもので、これにより、味方を効率よく敵の砲兵陣地に集中できるのである。逆に言うと、これがないということは、現代的な砲撃戦では勝ち残れない、ということを意味する。

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