1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

マルコス一族復権の兆し?

Japan In-depth / 2017年11月2日 23時0分

 

写真)マルコス比大統領と佐藤栄作首相 1969年 出典)National Library of the Philippines 

 

議員、知事と副大統領は天地の違い

 大統領職を追われ、亡命生活を送った米ハワイでマルコス元大統領は1989年9月28日、失意のうちに死去するが、遺体は一族の「マニラの英雄墓地への埋葬」という希望が歴代政権によって容れられず、北イロコス州ラワグにある実家の霊廟に「冷凍保存」されていた。

ところがドゥテルテ大統領はマルコス元大統領の遺体をマニラ郊外の英雄墓地に移送・埋葬することを認め2016年11月18日に密かに搬入され埋葬が実現した。長年の念願が叶い、晴れて父が「英雄」と公に認められたボンボン上院議員、そして長女のアイミー北イロコス州知事、妻のイメルダ下院議員はこれを契機にドゥテルテ大統領との関係を強めていく。

写真)アイミー・マルコス北イロコス州知事 出典)Imee Marcos HP

写真)イメルダ・マルコス下院議員 出典)イメルダ・マルコスHP

長男は上院議員、長女は州知事とマルコス元大統領の一族は依然として政界で一定の役割を果たしている。これはいずれもマルコス大統領の熱狂的な支持者が圧倒的に優勢な北イロコス州の選出であり、イメルダ下院議員は父親の出身地であり、自らも青春時代を過ごしたレイテ島という地元の選出である。つまり、マルコス一族のこれまでの政界での位置、役割はあくまで地元選出であって、決して全国区の幅広い国民の支持を背景としたものではなかった。

マルコス大統領時代の戒厳令下で行われた反政府活動家、学生などへの拷問、虐殺という深刻な人権侵害を理由にマルコス一族への「拒否感、嫌悪感」はいまだに多くのフィリピン国民の間に残っていることは事実である。

ところが、副大統領となると議員や知事とは異なり権力の中枢の一端を掌中にすることであり、それはレベルがワンランクアップしたマルコス一族の本格的な復権への大きなステップになるのは確実とみられている。

 

相次ぐマルコス不正蓄財を巡る動き

こうしたドゥテルテ大統領のマルコス一族への「理解ある動き」に呼応するかのようにマルコス一族も最近、政権への接近を強めている。今年9月3日、ドゥテルテ大統領はマルコス元大統領の長女アイミー州知事から「一族の不正蓄財を返還したいとの申し出があった」ことを明らかにした。ドゥテルテ大統領によれば返還の具体的な金額についてはまだ協議していないという。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください