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医師不足対策は看護師の有効活用

Japan In-depth / 2017年11月7日 0時53分

医師不足対策は看護師の有効活用

上昌広(医療ガバナンス研究所 理事長)

「上昌広と福島県浜通り便り」

【まとめ】

・日本の医師数はOECD加盟国35か国中24位。

・医師不足対策で考えるべきは、看護師の有効活用。

・医師の業務独占を緩和し、ナース・プラクティショナー(上級看護師資格)を認めよ。

 

【注:この記事には複数の写真・図が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真の説明と出典のみ記載されていることがあります。その場合はhttp://japan-indepth.jp/?p=37026で記事をお読みください。】

 

我が国の医師・看護師不足は深刻だ。ところが、医師と看護師では不足の度合いが違う。この差について、これまであまり議論されてこなかった。

この点は、国際比較してみると分かりやすい。人口1,000人あたりの医師数は2.4人で、OECD加盟35カ国中24位だ。一方、人口1,000人あたりの看護師数は11人。OECD加盟国中12位である。我が国は看護師より医師不足が深刻だ。

これは看護師数と医師数の比をみると一目瞭然だ。ハンガリーのセンメルワイス大学医学部に通う石川甚仁君の調査をご紹介したい。石川君によれば、我が国の看護師/医師は4.6だ。これはOECD加盟国中、フィンランド(4.7)につぐ2位だ(図1)。

▲図1:看護師と医師数の国際比較

 

▲図2:都道府県の看護師数と医師数の比(2014年現在) 作成 センメルワイス大学医学部石川甚仁氏

ちなみに、英米など西欧先進国および北欧は3~4、東欧は2~3、南欧は2以下と低い。ギリシャにいたっては0.6だ。医師・看護師関係も国によって随分と違う。他の先進国と比較すると、我が国は、医師の不足を看護師がカバーしてきたことがわかる。

では、国内では、どのような差があるのだろう。図2は都道府県別の看護師数と医師数の比だ。西日本の値が高く、首都圏と大阪府・愛知県などの都市部が低いことがわかる。我が国の医師数は西高東低だ。看護師数は基本的に医師数に比例する(図3)。だが、実際には看護師は医師以上に、西高東低で偏在しているようだ。

▲図3:看護師数と医師数の関係

その傾向がもっとも顕著なのは東京だ。看護師と医師の比は2.7。一番高い宮崎県(7.6)のおよそ3分の1だ。医師は多いが、看護師がいない。東京で働く若手医師が「看護師さんがやる仕事を全てさせられる」とこぼすのも無理からぬことだ。

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