激震マレーシア マハティール神話見直し
Japan In-depth / 2017年11月12日 11時56分
大塚智彦(Pan Asia News 記者)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
【まとめ】
・マレーシアのマハティール元首相の発言や現職時代の事件に対し謝罪や訂正を求める動き活発化。
・ナジブ首相側が政権批判を強めている元首相に対し反転攻勢に出ているとの見方あり。
・首相側は来年8月予定の総選挙の前倒しも画策、マレーシア政局は流動化。
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マレーシアでマハティール元首相(93)の最近の発言や現職時代の事件に関連して公式の謝罪や訂正を求める動きが最近急に活発化して、マハティール元首相周辺をあわてさせている。元首相支持者らの間からは、来年8月にも予定される総選挙の前倒しを狙うナジブ・ラザク首相側が政権批判を強めている元首相に対し、反転攻勢にでているのではないか、との見方が強まっている。
▲写真 ナジブ・ラザク マレーシア首相 2012年 flickr : Firdaus Latif
元首相の発言にはインドネシア副大統領も強く反発、訂正と謝罪を求める動きも出るなど外交問題にもなりつつある。
20年以上に渡る長期政権を維持したマハティール元首相は、自身の有力後継者だったアンワル元副首相を切り捨てたが、最近同じくかつての盟友で国防相など有力閣僚だったナジブ現首相への批判を強めている。そして「敵の敵は味方」ではないが、アンワル元副首相との関係を修復、「反ナジブ」の共同戦線を組むまでになっている。
▲写真 アンワル・イブラヒムマレーシア元副首相 2013年 flickr:Firdaus Latif
来年に予定される総選挙に向けてナジブ陣営とマハティール・アンワル陣営による水面下の丁々発止の攻防がすでに繰り広げられており、今回のマハティール謝罪要求はこうした野党共闘に不協和音を起こす政権側の狙いもあるとみられている。
マレー半島西海岸中部、首都クアラルンプールを囲むセランゴール州の州議会は11月2日、捜査当局に対しマハティール元首相を1948年制定の「扇動・治安妨害法」違反の容疑で捜査するよう求めた。これは10月14日に行われたナジブ首相の金銭スキャンダルを糾弾する反政府デモに関連してマハティール元首相がナジブ首相を「ナジブは海賊であり、盗人であり、犯罪者でもあるブギス族の子孫だ」と演説で批判したことを問題視した要求だ。
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