ノーベル文学賞と言語の関係 ノーベル賞の都市伝説その1
Japan In-depth / 2017年11月12日 23時0分
これもよく知られるように、日本語で原著を書いて受賞者となったのは、川端康成、大江健三郎の2氏だが、中国語、ギリシャ語を母国語とする作家も2人ずつ受賞している。
▲写真 左から、三島由紀夫、川端康成、真杉静枝(ユーディ・メニューイン訪日公演時) 出典:『アサヒグラフ』 1951年10月10日号
▲写真 大江健三郎 at Japan Institute Cologne, Germany Photo by Hpschaefer
他に、トルコ語、クロアチア語、イディッシュ語(東欧ユダヤ人特有の言語)の作家も受賞している。受賞者の母国語は、資料で確認できる限り25カ国語にまたがっているのだ。前々から下馬評が高かった村上春樹氏は、今回も受賞を逃した。
そのことについて、イシグロ氏は英語で書いた分、有利だったのでは、などと語る向きも見受けられるが、これなど私に言わせれば、イシグロ氏のことを「日本の作家」だと言い張るのと同じくらい愚かなことだ。ノーベル文学賞の選考において、国籍や言語は本質的な要素でないということは、データの上から明らかなのだから。
トップ画像:カズオ・イシグロ氏 Kazuo Ishiguro at the launch of his book The Buried Giant, 2015 Photo: Katie Hall 出典/Nobelprize.org
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