エジプトテロ 300人超死亡
Japan In-depth / 2017年11月29日 10時0分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2017#48 (2017年11月27日-12月3日)
【まとめ】
・エジプトシナイ半島北部モスクでテロ。300人超死亡。
・独連立政権樹立に向け調整進む。メルケル政権倒れればEU弱体化。
・ローマ法王、ミャンマー訪問後30日からバングラデシュも訪問。ロヒンギャ問題進展に期待。
【注:この記事は2017年11月27日に寄稿されたものです】
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今週はあまり大きなニュースがない。11月22日の米国による北朝鮮の「テロ支援国家」再指定後も、北朝鮮は予想以上に静かだし、米中とも不気味な沈黙を守っている。こういう時の方が、何かが水面下で起きている可能性は高いのかもしれないが、筆者にはそれを知る術がない。
それよりも今週筆者が気になるのはエジプトで300人以上の犠牲者が出たテロ事件だ。起きたのはシナイ半島北部、カイロから200キロ離れた地中海沿岸の村のモスクだ。白昼約30人の武装集団がモスクに乗り付け、1人が自爆した後、無差別銃撃で少なくとも305人が死亡したという。
この中には子供約30人も含まれていたそうだから、ひどい話だ。何時からエジプト人はかくも血生臭い残忍な行動をとるようになったのか。少なくとも筆者がアラビア語を研修していた1970年代にはそんなことはなかった。こうしたやりかたは、エジプト的というより、イラク的な東洋古代専制政治型だ。
場所がシナイ半島で、標的がイスラム神秘主義(スーフィズム)らしいことも象徴的だ。広大なシナイ半島はモーゼの時代から、エジプト中央政府に対抗する勢力の絶好の隠れ家だった。スーフィーも異端だとはいわないが、主流のイスラームとは異なる。歴史は繰り返さないが、押韻するのだろうか。
〇欧州・ロシア
27日からドイツ大統領が連立政権に向けた調整を行うが、見通しは暗い。キリスト教民主同盟と大連立を組むたびに支持率を減らしてきたドイツ社民党にとって、メルケル首相との連立解消は既定路線なのか。遂にドイツでも政治的混乱が長期化する可能性が出てきた。万一、メルケル政権が倒れれば、EUの弱体化が進むだろう。
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