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存在しない「数学賞」ノーベル賞の都市伝説2

Japan In-depth / 2017年12月3日 9時22分

存在しない「数学賞」ノーベル賞の都市伝説2

 

林信吾(作家・ジャーナリスト)

「林信吾の西方見聞録」

 

 

【まとめ】

・ノーベル賞の創設者は、ダイナマイトを発明したアルフレッド・ノーベル。

・ノーベルの遺言状には平和賞の設立の理由について詳述されておらずはっきりしたことは分かっていない。

・数学賞がない理由もはっきりしない。

 

 【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全てが見れず、写真説明と出典のみ表示されることがあります。その場合はhttp://japan-indepth.jp/?p=37249のサイトでお読みください。】

 

毒舌で有名な英国の作家ジョージ・バーナード・ショウは、「ダイナマイトを発明して多くの人命を奪ったノーベルは許し難いが、人材に格付けするノーベル賞を制定したことこそ、彼の最大の罪だ」と語ったことがある。

たしかにアルフレッド・ノーベル(1833~1896)はダイナマイトを発明し、他にも多数の兵器開発に従事し、故郷スウェーデンのボフォース社を、単なる鉄工所から世界一流の兵器メーカーに成長させた。

写真)Alfred Nobel 出典)WIKIMEDIA COMMONS

このボフォース社の40ミリ対空機関砲は、第二次大戦中、米国がライセンス生産して海軍の主要艦艇に配備し、太平洋戦線で多数のカミカゼを撃墜した。

ちなみに、彼自身が創業したダイナマイト・ノーベル社は、現在はドイツ企業となっており、携帯用の対戦車無反動砲「パンツァーフェウスト3」などの製造元として知られる。

バーナード・ショウの評価をひとつ修正させていただくと、ダイナマイトは戦場においては、もっぱら障壁などの破壊に使われたのであり、ノーベルの発明の中で、より直接的に「多くの人命を奪った」のは、砲弾の起爆装置(信管)の方である。

 

写真)フランスのダイナマイト・デ・アンシエンヌ美術館で撮影されたBAM Nobel-Bozel(1957-1984)出典)photo by Olecrab

写真)パンツァーファウスト3、後部グリップが折りたたまれた状態 出典)photo by Sonaz

ともあれ、このようなノーベルだけに、遺言においてノーベル平和賞の設立を求めたのは、やはり「死の商人」であったことへの贖罪意識からだろう、と見る向きが多いが、遺言状では設立の理由について詳述されておらず、はっきりしたことは分かっていない。平和賞については、稿をあらためて、もう少し詳しく見る。

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