シリア難民中継国ギリシャの苦悩
Japan In-depth / 2017年12月14日 16時41分
この1年、ギリシャに留まるしかなかった難民に再びチャンスが訪れ始めた。EUが各国の難民の受け入れ人数を相談し、ギリシャからのリソケーションプログラムがスタートしたのだ。
UNHCRのオフィスへ行くためにオモニアスクエアからメトロに乗ろうとした時、何台もの観光バスが停まっていて、アラビア語が飛び交っていた。中東の人達の団体旅行かと見てみると、バスにはIOM(国際移住機関)のステッカーが貼ってあった。
偶然にも、難民たちの移動に出くわしたのだ。すぐにIOMのスタッフにインタビューすると、今日だけで650人ものシリア人がドイツへ行くと教えてくれた。
オモニアスクエアの周りには、ドイツへ行くことになったシリア難民と、それを見送るギリシャに滞在中のシリア人でいっぱいになっていた。その中にはご近所だったのか地元のギリシャ人の姿もあり、長く滞在していたギリシャからの旅立ち、その別れを惜しむ姿があちこちで見られた。
写真:ドイツへ移住するシリア難民を見送りにきた仲間たち
©久保田弘信
一時期、ユーロからの離脱もあるかと思われたギリシャは、EUとIMFの支援によって、なんとか経済を持ち直そうとしている。ギリシャ人のいいところは、楽観的で明るいところだ。経済の話をすると、「そのうちなんとかなるよ」と笑顔で答える人が多い。EUの他の国々からすれば、「もっとシリアスに考えて、早く経済を立て直しなさい!」と言われそうなほど、楽観的というより能天気な面があるのかもしれない。
近年、ヨーロッパのあちこちでは難民排斥運動が起き、それに呼応するようにテロ事件が頻発している。ギリシャは多くの難民を抱えているにも関わらず、大きな事件が起きていない。それこそが、ギリシャ人のホスピタリティの為せる業なのかもしれない。自国の経済が良くないにも関わらず、難民を受け入れている…。そんなギリシャの未来に期待したい。
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