ロヒンギャ難民の窮状 最新報告
Japan In-depth / 2017年12月15日 16時14分
また、現金支給や労働に対する賃金の支払いも8月から禁止されていたことなどを明らかにした。
帰国したばかりの中坪氏からは、現場の写真をもとに人々の様子が伝えられた。
キャンプでは、切り開かれた丘に、隙間なく木とビニールで作られた簡素な住居が建てられ人々が暮らしているという。雨を凌ぐのがやっとという印象でキャンプの人々は電気を使用することを認められていないので、屋根の上で小枝を乾かし、それで火を起こして炊事をしている状態。物は何もないので、食料以外の衣服や鍋などの日用品もすべて配給で賄われているという。
また、30センチしか掘られていないトイレの横に井戸があり、衛生面が心配される。女性の水浴びはテントの一角をビニールで仕切っただけの狭い空間で行われている。宗教上、日常でさえ肌の露出をしない彼女たちが、その仕切りの中だけで水浴びをするというのがどれほどのストレスか女性であれば容易に想像できる、とキャンプの暮らしの困難さを紹介した。
写真)隙間なく並ぶ避難キャンプの住居
©Japan In-depth編集部
また、キャンプでインタビューし印象的だった何人かについて中坪氏は、「12人家族だった少年に話を聞いた。11人のほかの家族は目の前で軍に銃殺された。彼は物陰に隠れていて無事だったが、家族を失い、親戚とともに避難してきたと話してくれた。また、20代の前半の若いお母さんに出会った。脳性麻痺の幼い子供を抱え、妹とともに必死に逃げてきたと目に涙を浮かべていた。1歳の子供を目の前で殺された夫婦、奥さんは切り付けられた傷が今も喉に残っていた。」と壮絶な避難民の状況を語った。
写真)報告をする中坪氏と避難民の親子の写真
©Japan In-depth編集部
調査を終え、今後AARとしては、下記の4点の支援を行っていくと報告した。
・トイレの設置
現在のトイレは便槽が30センチ程度しかなく、すぐにいっぱいになり使い物にならなくなっていることが分かった。現在、キャンプ全体のトイレのうち50%が満足に使用できない状態だという。理想は3メートルの深さまで掘ることだが、それはキャンプでは難しいため、1.5メートルの深さの便槽を設置する。
写真)現在のトイレ
©Japan Indepth編集
・女性用水浴び室の設置
女性が安心、安全に水浴びができる場所が存在しないことが分かったため。
・井戸の掘削
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