ロヒンギャ難民の窮状 最新報告
Japan In-depth / 2017年12月15日 16時14分
・毛布、上着の支給
バングラデシュは冬場は10度前後になるという。寒さをしのぐための毛布などが不足すると予想されるため。
写真)視察の際に毛布と上着を支給した様子。
毛布と上着を受け取り喜ぶ子供たち
©Japan In-depth編集部
具体的な支援キャンプ場所は、バングラデシュ政府の指示で行っていくことになるだろうと付け加えた。
これを受け会場から、質問が寄せられた。
「これからの時期は、寒くなり乾燥もする。これだけ密集した場所で、火事が起こればあっという間に燃え移り、大規模な被害になるのではないか。対策はどのように行っていくのか」という質問に対し、
「現在、キャンプでは電気を使うことが許されていないため、火は生活になくてはならないもの。バングラデシュ政府も火事は懸念しており、薪の使用を控え、燃え移りにくい代替えの燃料を配給し推奨していた。」と答えた。
次に、
「ミャンマー、バングラデシュ両政府は23日にロヒンギャの帰還にむけた覚書に署名した。帰還は、避難民にとって有益なのか。」という質問し対して、中坪氏は「帰還の正当性は、避難民の彼ら自身が“帰りたい”と望んでいるから。それだけ。しかし、この覚書には、具体的に終わりの期日も示されておらず、長期戦になると予想される。彼らが以前住んでいた場所は、ミャンマー政府により焼かれてしまった場所も多い。帰還したとしても住む場所もなくなっている。この覚書に署名しただけでは解決になるとは思えない。」と答えた。
©Japan In-depth編集部
中坪氏は「私たちから見ると、大変苦しい生活だと感じたが、子供たちは皆、人懐っこく、明るく笑顔で生活しており元気づけられた。避難民の方にインタビューをしたら、『戻っても虐待される。本当に何もされないなら、ミャンマーに戻りたい。』という言葉があり、強く心に刺さっている。これこそが本音だと思う。」
と締めくくった。
こうした中、1日、アウン・サン・スーチー国家顧問兼外相が、北京を訪問した。ロヒンギャの難民問題を巡り、ミャンマーの立場に一定の理解を示す中国側と協議した。
ミャンマー政府は11月23日に「近隣国の間に起きた問題は、2国間で解決されるべきだ」と言及しており、国連や米国、欧州連合などからの“民族浄化に値する人権侵害”だという国際社会の干渉に反発している。このタイミングでの訪中は欧米をけん制する狙いがあるとみられる。また、この問題に関心を持つローマ法王が、30日バングラデシュを訪れ難民と面会した。
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