トランプ大統領の実績伝えぬメディア
Japan In-depth / 2017年12月16日 18時45分
だがそんな事態は起きてはいない。トランプ大統領は辞任どころか、ますます活発に動いている。この種の誤断の原因はアメリカ政治の構造の基本への理解不足でもあろう。だがそれより大きな原因は日本側のメディアなどが米側の反トランプ勢力の主要メディアや民主党側の発信に依存したことだろう。
ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、CNNテレビといった年来の民主党支持のメディアはトランプ政権の負の部分だけを集中的に、拡大、誇大という形で報じる。円滑に進む側面には光をあてない。トランプ政権の政策も全般に客観的には伝えないという姿勢がほとんどなのだ。
▲写真 ニューヨークタイムズ本社 出典:Wikimedia
さてそのトランプ大統領の動きで日本にとっての優先関心事といえば、やはり11月の日本はじめアジア各国の歴訪だろう。ワシントンではこの歴訪を共和党側が明確な成功と総括する一方、民主党側でも意外と批判は少ない。この歴訪でトランプ政権の対アジア政策の骨格が形をみせた。
その特徴の第一は日米同盟の重視の再確認である。トランプ大統領はとくに安倍晋三氏への信頼や期待を強調した。個人同士の相性という次元を越えての日米間の緊密な協力を訴え、目前に迫る北朝鮮の核やミサイルの脅威に対してもまず日米連帯を力説した。
▲写真 赤坂迎賓館で鯉の餌やりをする日米両首脳 2017年11月6日 出典:首相官邸
第二は「インド太平洋」戦略の宣言である。
アメリカの従来の安全保障面での東アジア政策をインドにまで広げ、東南アジアやオーストラリアという民主主義国家の有志連合により「国際規範の順守」や「法の支配」「人権尊重」を拡大するというのだ。そのホコ先は明らかに中国だった。
▲写真 日米合同演習 出典:Commander, U.S. Pacific Fleet
第三は、アメリカ自身の経済面での利益追求だった。安全保障面での日本や韓国との連帯とはまた別に、経済、とくに貿易面では二国間の赤字を減らし、アメリカの国益を優先する。中国に対しても北朝鮮問題での協力要請とは別に不公正な貿易慣行の是正を強く迫る、という政策である。
▲写真 日本車を運搬する自動車船 Photo by Garitzko
以上のように、これまで不透明な部分も多かったトランプ政権のアジア外交が全体像をみせ始めたといえるのだ。その政策の支えとしてはオバマ政権とは対照的に軍事力の増強を明確に打ち出していた。
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