1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

ノーベル平和賞の虚実

Japan In-depth / 2017年12月17日 11時41分

▲写真 金大中元韓国大統領とクリントン元米大統領 出典:the Executive Office of the President of the United States

ちなみに米大統領では、過去に4人が受賞している。その内、ウッドロー・ウィルソン(1919年)、ジミー・カーター(2002年)、バラク・オバマ(2009年)の3人は民主党所属で、リベラル・インテリ好みの分かりやすい人選である。

▲写真 ウッドロー・ウィルソン 出典:Pach Brothers, New York

▲写真 ジミー・カーター 出典:WhiteHouse

▲写真 バラク・オバマ 出典:photo by Pete Souza, The Obama-Biden Transition Project

カーター授賞に際しては、選考委員長が「これは現在の米政権の路線への批判と解釈されるべきである」と、「テロとの戦争」に邁進するブッシュ長男大統領(共和党)への牽制を意図したと明言してもいる。どれほど非人道的な独裁者とも話し合いで妥協点を探るべきとするカーターは、反ブッシュ・反レーガンの象徴であると同時に、選考委員会の姿勢の象徴でもあった。

唯一異色と言えるのは、セオドア・ルーズベルト大統領(共和党)への授賞である(1906年)。ルーズベルトは、米西戦争中、突撃部隊を率いた勇猛果敢な戦いで名を馳せ、生涯、尚武の精神を説いてやまなかった。「棍棒片手に優しい声で」を政治信条とした人でもある。

▲写真 セオドア・ルーズベルト 出典:photo by   Pach Brothers

選考委は、日露戦争終結を調停した功績を授賞理由に挙げたが、実際は、当時国民投票でスウェーデンからの独立を決めたばかりで、不安定な状況にあったノルウェーが、ルーズベルト授賞によって、大西洋の対岸で台頭する新興大国との関係を強化しようとしたのではないかと言われている。

当時の選考委員長は、ノルウェー政府の外相でもあった。つまり、平和賞はノルウェーの国益と無縁ではない。それゆえ反捕鯨団体などが授賞することはないだろうと言われる。ノルウェーは、国際捕鯨委員会の決定に従わず、商業捕鯨を続けている国である。

ノーベル平和賞に意義が認められるのは、独裁権力と戦う人権・民主活動家に与えられた場合に限られると言っても過言ではない。ソ連のアンドレイ・サハロフ(1975年)、ポーランドのレフ・ワレサ(1983年)、チベットのダライ・ラマ14世(1989年)、中国の劉暁波(2010年)などがその例である。いずれも立派な決定であった。今後、受賞対象をできるだけ人権活動家に絞るよう、日本政府も外交的働きかけを行うべきではないか。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください