崩壊寸前の地域医療 福島県大町病院の場合
Japan In-depth / 2017年12月25日 9時58分
(写真)大町病院で診療する藤岡将医師 ©上昌広
この話を聞いたいわき市内の病院長が「私たちもお手伝いします」と声がけしてくれた。非常勤医師を派遣すべく調整が進んでいる。
ただ、これだけで不十分だ。やはり常勤の医師がいる。この状況をみて動いたのが、同じく南相馬市立総合病院の乳腺外科医である尾崎章彦医師だ。2010年に東大医学部を卒業し、千葉県旭市、福島県会津若松市の病院で勤務後、2014年10月に南相馬市立総合病院に異動した。私たちの研究室には東大医学部在学中から出入りしている。前出の山本医師、藤岡医師とは旧知だ。
(写真)尾崎章彦医師と山本佳奈医師 東大医科学研究所の研究室にて ©上昌広
彼は、南相馬市で地域医療に従事する傍ら、多くの医学論文を発表し、日本の医学界が注目する若手医師となった(https://career.m3.com/contents/lab/akihiko_ozaki.html?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=sem_adpcareer__cmr_dr-lab_cv9000089_20170703)。
大町病院の窮状を見た彼は「誰かが行かねばならない」と言い、南相馬市立総合病院に辞表を提出した。1月から大町病院で働く。大町病院には尾崎医師と同年配の外科医がいる。慈恵医大の医局から派遣された医師だ。
猪又院長によれば「手術は月に4件程度」で、外科医として十分な経験は積めない。車で一時間程度のところに、仙台厚生病院、宮城県立がんセンターなどの全国的に有名ながん専門病院、さらに東北大学、福島県立医大がある。胃がんや乳がんなどの患者は、このような病院に行ってしまう。外科の修練を積むという意味では、大町病院に赴任することは、尾崎医師にとってデメリットにしかならない。
なぜ、彼は大町病院に赴任するのだろうか。それは、医師としての義務感に加え、崩壊の瀬戸際にある地方病院に勤務することで、得がたい経験を積み成長することができるからだ。
2016年末、福島県広野町の唯一の病院である高野病院で、たった一人の常勤医である院長が亡くなった。この時、『高野病院を支援する会』を立ち上げ、事務局長に就いた。自らも非常勤医師として診療に従事した。その後の活躍はメディア報道の通りだ。彼自身、体験記を公開している(http://www.huffingtonpost.jp/akihiko-ozaki/takano-hospital-and-fukushima-prefecture_b_14277516.html)(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48855)。
この記事に関連するニュース
-
「こころの診療所 築地・新富町」新規開院のお知らせ 悩みこまずにすぐに相談できる心療内科
PR TIMES / 2024年5月1日 11時15分
-
専門医と非専門医で治療実態に違いは見られるか…?【呼吸器疾患における調査結果+エキスパート考察を公表】
PR TIMES / 2024年4月30日 16時15分
-
託された命を未来へつなぐ小児心臓外科医・山岸 正明氏を特集 DOCTOR'S MAGAZINE ドクターズマガジン5月号発刊
PR TIMES / 2024年4月26日 10時15分
-
DYMメディカルセンターベトナム、2024年4月よりハノイ院にて日本人耳鼻科医が着任
PR TIMES / 2024年4月23日 17時45分
-
「医師の働き方改革」で従来の医療サービスを受けられない可能性も
日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年4月19日 9時26分
ランキング
-
1那須2遺体、指示役が都内の暴行現場で見張りか…周辺の防犯カメラで確認
読売新聞 / 2024年5月2日 22時4分
-
2人的ミスで在宅センサーが停止、死亡把握が遅れた可能性 横浜市
毎日新聞 / 2024年5月2日 20時32分
-
3「あれはいいものだ…」あまりの人気に想定外の事態『ガンダムマンホール』引越し大作戦 新潟県南魚沼市
BSN新潟放送 / 2024年5月2日 22時13分
-
4日仏首脳会談 自衛隊と仏軍の訓練など「円滑化協定」交渉開始で合意
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年5月2日 23時37分
-
518歳の男を殺人などの罪で起訴、実名を公表 浜名湖高校生殺害
日テレNEWS NNN / 2024年5月2日 20時17分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください