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都心の大学、本当に必要? 東京都長期ビジョンを読み解く!その56

Japan In-depth / 2017年12月25日 11時20分

理由2:大学の国際競争力を低下させる

理由3:人材が資源の国益を損なう

理由4:大学の自主性を尊重していない(新たな大学・学部などの新増設ができない)

理由1については、たしかにそうかもしれない。しかし、改革や革新が進んでいるのか、都心のほうが有利な研究は見たことはない。23区でなくても停滞するものとは言えない。23区の方が逆に、オフィスなどの地代や人件費などコストがかかる。

理由2、国際競争力のある大学はマンハッタンなどの都心に集中してはいない。世界的に言えば、ボストンのような中小都市(ハーバード、MIT)、ニューヘイブン(イエール)、オックスフォード・ケンブリッジ(ともにロンドン郊外)など、郊外の大学の方が多かったりする。

▲写真 米ハーバード大学 Photo by Ingfbruno

理由3、別に定員増がたかだか抑制されたくらいで、国益を損なうというのは言い過ぎだろう。定員が400名を410名に増加できないだけで何が変わるのか。多くは大学を卒業して会社で働く現実を考えると眉唾の論理だ。

理由4、確かにそういうこともあるだろう。しかし、私学助成金など国の支援を得て経営をしている以上、自主性を最大限に発揮していいものでもないことは言うまでもないだろう。

東京都や関連団体の反対の背景には、23区にキャンパスを置く私立大学や日本私立大学連盟の反発を受けたといわれている。そこが本音だろう。私立大学としては短期的には困るし、私も経営サイドの立場で短期的な成果を問われる立場だったら反対をするのは当然のことだ。

詳細は国会図書館のレポートに詳しいが、平成 14年以降、大学の都心回帰や都市部での定員増の傾向がみられていた。そうした中、「平成28年の東京圏への若者(15~29歳)の転入超過人数は11万5千人」で「そのうち大学等進学者は6万7千人と、半数以上」という現状から見ると、その流れを抑制するのは地方創生の意味で当然のことだろう。

さらに、「23 区の大学等の学生数は46万7千人で、23区で全国の学生数の17.4%」と全国の人口と比べても、「過度な集中」といえる。

個人的には定員抑制どころか、定員削減くらいの抜本的な改革を後押しすべきだと思っている。

 

■「都心ファースト」の限界?

東京都の考え方は仕方のないことかもしれない。しかし、東京こそ、私立大学の新たな改革案を誘導する取り組みを掲げればいいのにと思う。

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