中国、カリブに照準 台湾完全追放へ
Japan In-depth / 2017年12月26日 10時52分
山崎真二(時事通信社元外信部長)
【まとめ】
・中国がドミニカ共和国に接近、インフラ建設への大型支援と引き換えに国交樹立を求め、台湾との断交迫る。
・中国は「ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)」を積極支援、中米カリブ10カ国と国交樹立を目指す。
・“台湾断交ドミノ”阻止のため、台湾も必死の外交を展開中。
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中国は国際社会から台湾を完全に締め出すのか。そんなことを予感させる動きが今、中米で起きている。
■狙われるドミニカ共和国
「この国が台湾と断交、中国との国交へとカジを切るのはほぼ確実」-こう語るのはカリブ海の島国ドミニカ共和国で長年、自動車関連ビジネスに携わってきた日本の中堅商社幹部。
ドミニカ共和国は、台湾とは中華民国時代の1932年から外交関係を維持してきたが、ここ数年、中国が急接近しており、台湾との断交を迫っているとの多数の情報が流れている。
「今春以降、中国は経済ミッションをたびたび派遣し、ドミニカ共和国のインフラ建設への大型支援を表明、国交樹立を求めている」(前述の日本商社幹部)
「中国は『1つの中国』の原則を盾にドミニカ共和国側にイェスかノーかを迫っている」(在京ドミニカ共和国大使館関係者)
「中国はドミニカ共和国との間で貿易、観光、教育、エネルギー、文化など多面的な分野で関係を強化しており、11月末にサントドミンゴ(同共和国首都)で開催された貿易博覧会に中国企業80社が参加した」(在京中国大使館筋)
それにしても、国際情勢にそれほど影響があるとは思われないカリブ海島国への中国の攻勢がなぜ、クローズアップされるのか、との疑問がわく。実はドミニカ共和国は中国に狙わられる重要な要素があるのだ。
ドミニカ共和国は、カリブ海西インド諸島中部のイスパニョーラ島東側に位置する。(ちなみに、カリブ海には同じ「ドミニカ」の名を持つドミニカ国も存在するが、こちらは英連邦の一員で別の国)同共和国の国土は九州より少し大きい程度だが、人口は約1千万人。従来からの観光業に加え、自由貿易地区(フリーゾーン)を利用した繊維輸出業が盛ん。金、銀およびニッケルなど鉱物資源も豊富で近年、経済成長が著しい有力新興国だ。
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