中国、カリブに照準 台湾完全追放へ
Japan In-depth / 2017年12月26日 10時52分
ニューヨークの国連本部政治局で中南米地域をウォッチしている専門家は「ドミニカ共和国が中米、南米でプレゼンスを増していることを考えれば、中国が目を付けないわけがない」と言う。ドミニカ共和国は主に中米カリブの25カ国で構成する「カリブ諸国連合」(ACS)の原加盟国で、中米の経済統合・発展を目指す「中米統合機構」(SICA)の一員でもあり、2018年1月からはSICAの議長国を務める。
■中国とカリブの意外な関係
同専門家によれば、より重要なのは、同共和国が中国との関係が強い「ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体」(CELAC)の議長国を務めるなど、CELACのメンバーとして活発に活動している点だという。
CELACは日本ではあまりなじみがないが、中南米の統合を将来的目標に掲げ、同地域の33カ国すべてが参加して2011年末に発足した比較的新しい国際組織。1990年代に米国の干渉を排除して中南米の諸問題解決を目指し設立され、大きな外交的影響力を発揮した「リオ・グループ」の流れをくむ。
このCELACを積極的に支援しているのが中国であることは意外に知られていない。習近平・中国国家主席は就任直後の2013年6月、中米各国を訪問して以降、CELACとの関係強化に努め、2015年には「中国・CELACフォーラム」閣僚会議を北京で開催した。その際、習主席は向こう10年間に中南米地域向けの投資・貿易の大幅増を表明している。
写真)「中国・CELACフォーラム」閣僚会議 2015年1月
出典)コロンビア外務省
「CELACの議長国も務め、中米カリブで存在感を増している有力新興国ドミニカ共和国を自国に取り込むことで、中国は同地域で“台湾断交ドミノ”現象を起こそうとしている」というのが、前述の国連本部政治局の専門家の見方だ。
現在、世界で台湾と外交関係を維持している国は20カ国。そのうち11カ国が中南米に属するが、南米はパラグアイアだけで、残りはすべて中米カリブ諸国である。従って、「中国が中米カリブの10カ国と国交を樹立することになれば、国際社会からの台湾の完全追放が現実味を帯びてくる」(国連外交筋)というわけだ。こうした中国の外交戦略の第一歩がドミニカ共和国攻略とみていいだろう。
■巻き返しに懸命な台湾
「ディアリオ・リブレ」などサント・ドミンゴの有力紙は先ごろ、9月の国連総会の際、中国の王毅外相がドミニカ共和国のバルガス外相と会談したことを伝えた。同共和国外務省は両外相が握手している写真を公開している。また、メキシコやキューバなど複数の外交官は、先の国連総会でドミニカ共和国が台湾を支持する旨表明しなかった点に注目すべきだ、と指摘する。
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