地味な「検査」をないがしろにするな
Japan In-depth / 2017年12月30日 0時0分
嶌信彦(ジャーナリスト)
「嶌信彦の鳥・虫・歴史の目」
【まとめ】
・日本の製造業で次々と不祥事が発生、モノ作り神話崩壊。
・技術などの進歩に見合った検査体制にせず、放置していたことが一因。
・検査規準ややり方を一から見直す勇気が必要。
【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真説明と出典のみ記されていることがありあます。その場合には、Japan In-depthのサイトでお読みください。】
日本の国際的地位や社会的存在感がどんどん低落してきたような一年だった。かつては経済大国といわれ、時には「何だ経済だけしか認められていないのか」と無念な思いもあったが、いまやその経済も輝きを失ってきた。
特に日本を先導し、世界からも敬意をもたれていた日本の製造業、モノづくりまでが次々と不祥事を起こし、いまや当の日本人でさえあきれているのが実情だ。日産自動車、三菱マテリアル、東レ等々、各分野で日本を代表する企業の問題発覚に最近では衝撃すら感じなくなっているのではないか。
写真)三菱電線工業(株)箕島製作所
出典)三菱電線工業(株)
特に日本の総本山、経団連の会長を輩出している東レでもデータ改ざんなどが表面化し、事もあろうに「ネットに出たので公表したが、ネットなどに出ていなければ明らかにするつもりはなかった」と役員が会見で述べたのを聞いて思わずのけぞってしまった。
出典)東レハイブリッドコード株式会社 HP
出典)東レハイブリッドコード株式会社
各社の言い分は、製造されたものが基準と違うからといって安全性に問題があるわけではなかったし、いわば念には念を入れて細かい基準をある意味作りすぎた結果だった。製品には問題がなかったし、欠陥だとクレームがあったことも公表してこなかったという。
だとしたら、なぜそんな無用な細かな規準を作ったのか、と疑問を呈したくなる。安全を何重にも担保するため、必要以上に細かな規準を作っておくのが日本の製造業の体質となっているということなのだろうか。
今回の発覚はネットなどで告発があったためらしいが、無用の長物の規準をつくっていることに従業員が馬鹿げていると訴え出たということのようだ。“羹に懲りてを膾吹く”というが、正直に説明して自信のもてる安全基準に戻したらいいのではないか。
検査員も殆んどいないのに20年も30年も“無用な”規準を保持していた企業もあったというからまさに外向けの信用づくりに利用していただけだったのだろう。
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