トランプ、大企業優遇で対中「決戦」へ【2018:アメリカ】
Japan In-depth / 2017年12月31日 1時6分
▲写真 ホールフーズ店舗外観 flickr Mike Mozart
またトランプ氏は就任前に、インディアナ州の工場をメキシコに移転することを計画していた米空調大手キャリアを攻撃し、約8億円の補助金と引き換えに1100人の雇用を維持することを約束させた。ところが、実際に雇用が維持されたのは800人に過ぎず、7月にはその内600人超の従業員の解雇が開始された。しかも、補助金を使ったキャリアの投資は従業員の雇用維持ではなく、主にロボットを使った工場自動化に使われた。この「裏切り」を、トランプ政権は非難することをしなかった。
大統領選でウォール街や財界を攻撃することで白人労働者階層の支持を得て当選したトランプ氏だが、2017年後半には、攻撃対象だったウォール街や財界ために法人税率を最高35%から21%に引き下げようと全力を尽くした。その熱意と決意には並々ならぬものがあった。
▲写真 ウォールストリート NY証券取引所 出典:Wikimedia Commons
こうした努力が今、税制改革成立という形で結実しようとしている。大幅法人減税が発効する2018年には、大企業がさらに大きく強くなる。勢いづくトランプ大統領はさらに2018年に、企業を縛るあらゆる規制を撤廃してゆく方針だ。トランプ氏は12月中旬に、「1960年に2万ページ分あった連邦政府の規制が、2017年には18万5千ページに肥大化した」と批判し、規制を撤廃すれば企業活動、ひいては米経済が活発になるとの見解を示している。
▲写真 規制撤廃のパフォーマンスをするトランプ大統領 2017年12月14日 出典:The White House
政権はすでに、預金保護を目的とした銀行と証券の分離などの金融規制を撤廃するべく動き始めており、潤沢なキャッシュを持つアマゾンが「アマゾン投資銀行」を設立するかもしれない。アマゾンなど米IT大手は、規制の緩い中国でライバルのアリババなどが金融に進出して大成功を収めていることに焦りを感じており、規制を撤廃して、「指定戦略企業」であるアマゾンなどをさらに大きく強くすることは、トランプ政権の米国の国際競争力の強化という目標にかなう。
▲写真 アリババCEO ジャック・マー flicker World Economic Forum
こうしてみると、「トランプ対エスタブリッシュメント」「トランプ対財界」の対決の構図は、壮大な自作自演劇に過ぎなかったことが明らかだ。
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