日本を解凍する?少数株主シンデレラストーリー2
Japan In-depth / 2017年12月31日 11時55分
牛島:僕は、上場企業のコーポレートガバナンスのことをやっていて思うのは、会社は一定以上の規模になったらそれは社会的存在だということなんですよ。
安倍:小さくたって社会的存在でしょう?
牛島:そうですね、安倍さんは過激ですね(笑)
安倍:だって「会社」を逆に読めば「社会」ですからね。だから会社たるものすべからく社会に対して何らかの還元をすべきである、という考え方がありますよね。
牛島:「会社は社会のもの」論ですね。非上場の場合が多いですけどオーナー経営者であるということはどういうことか。どこまで他の株主を無視していいのか、という一種原理的な問いになるんですよ。その問いの後に出てくるのは、「非上場会社の少数株主だって、なんかあったら株を売ってしまえばいいじゃないか」ってことなんですよ。
安倍:売れればいいですけどね。
牛島:そうなんです。売ればいいじゃないか、って言われてもそもそも「買い手」がいないという問題がある。小さな非上場会社の株を一体誰が買うの?ってことです。年間幾らの配当もしていない会社だったりします。来年は配当するの?っていったってそれはオーナーの胸先三寸ですなんて会社の株、一体いくらで買えっていうの?という話です。
安倍:さっきの相談に来た年配の女性、今会社を経営している息子ですか、その息子さんにどういう値段でご自分の株を買ってもらっていたんですか?株が流通していないんだから市場価格ってないわけでしょう?
牛島:まず、そういうケースで株の売買の値段がどう決まるか、ということですが、通常会社側、あるいはオーナー側がいくらで買い取るかで一方的に決まるんですね。配当はいくらぐらいしている、会社の資産が多いからちょっと色付けるか、とかで決まる。
しかし、オーナー側が過半数握ってしまえばもう追加して買うインセンティブが無くなる。仮に3分の2まで買いたいなら買ってくれるだろうけど、それを超したらもう買う必要なくなりますよね。ということで基本オーナー側しか買わない。値段はあってなきがごとし。需要もあってなきがごとし。
私たまたまお宅の株を相続したので買ってください、と頼みに行くとする。「あ、いいですよ。」と買ってくれればいいですが、「(買ってもどうせ社長やってる俺の相続税が増えるだけだから買いません」持ち続けていたらどうですか?もう知りません。」と言われたらおしまいです。
安倍:それじゃあ圧倒的にオーナー側に決定権があるわけじゃないですか。一方的に。それ、少数株主にめちゃめちゃ不利ですよ。
(1の続き。3に続く)
▲写真 「少数株主」牛島信/著 幻冬舎
トップ画像:©Japan In-depth編集部
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