トランプの迷走どこまで?
Japan In-depth / 2018年1月10日 23時15分
トランプ大統領はこれに激怒し、ツイッターでバノンを「正気を失った」、「自身への影響力はなく、一職員に過ぎなかった」などとこき下ろした。そして、大統領個人の弁護士を通じて本の出版まで差し止めようとした。出版社は予定より本の売り出しを1月5日に早めた。
ウォルフは、大統領選挙選時から大統領就任後にかけて18か月に渡り密着取材を許され、バノンのホワイトハウス時代にはホワイトハウスを自由に動き回り、200回にわたるインタビューを重ねたとされている。その多くが録音されており、ウォルフはトランプ大統領自身にもインタビューを行ったとしているが、トランプはインタビューはなかったと否定している。
トランプの就任1年目のホワイトハウスは、バノンを中心とした急進保守派、元大統領補佐官ラインス・プリーバスを中心とした共和党派、そして、クシュナーやイバンカなどのトランプの肉親を中心としたニューヨーク派の争いと言われた。バノンもプリーバスも一年目途中でホワイトハウスを離れる羽目になったが、それでニューヨーク派が勝ったという訳ではなく、クシュナーもトランプ・ジュニアとともにロシア疑惑の中にいる。
▲写真 ラインス・プリーバス米元大統領首席補佐官 Photo by Michael Vadon
首席補佐官はジョン・ケリー、国家安全保障顧問はH.R.マックマスター、国防長官はジェームス・マティスとトランプ大統領の取り巻きは元軍人で固まっているため、国家安全保障では現実政策に基づいた行動が取られるとの期待はあったが、トランプは野生馬のようにそう簡単には手綱で制御できる人物ではない。そのため、トランプを自制することはできないとの見解が強い。それが、様々な外交政策にも出ている。
金正恩が正月メッセージで核兵器の発達を自画自賛し、アメリカをいつでも攻撃できるように核ボタンを押すことができると吹聴すると、トランプは、自分はより大きな核ボタンを持っており、さらにそのボタンは機能すると対応した。これに対しては、アメリカ内でもそう簡単に核戦争を起こされてはアメリカの安全保障に重大な危険がもたらされるとして、トランプ大統領の発言に批判的な声が民主党だけではなく共和党内でも聞かれるようになり、トランプ大統領の精神的不安定性を批判する声も高まっている。
ウォルフは、自著の中で、トランプに対する取り巻きの評価で一致するのは、トランプは子供のようだとみていることだとしている。子供のように、常に褒められ自己満足しないといられない、といった評価で、誰も大統領として才能のある人だとは見ていないというものだ。そのため、ペンス副大統領を始め、閣僚や共和党議員達も、機会あるごとにトランプ個人を絶賛する。ご機嫌を取ることによって保身しているのである。
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