1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

繰り返される朝日の歴史乱用

Japan In-depth / 2018年1月26日 11時3分

 

コラムの主題は大逆事件、つまり幸徳秋水事件で天皇暗殺の意図の罪で処刑された12人のうちの1人、大石誠之助という人物についてだった。コラムから引用しよう。

写真)幸徳秋水
出典)パブリックドメイン

 

≪その人、大石誠之助は、米国で、学んだ医者だった。「ドクトル大石」の表札を掲げ「毒取るさん」と慕われた。貧しくても治療費が払えない人には、口に出さずとも窓をトントン3回たたけばいいと教えた。そんな言い伝えに人柄を思う。

 

日露戦争で、非戦論を訴え、人道的立場から公娼に反対した。そんな彼が、親交のあった幸徳秋水や地元の仲間とともに弾圧される。いわれなき共謀の罪だったが、周囲の眼差しは一変した≫

 

写真)大石誠之助
出典)パブリックドメイン photo by 雨宮栄一

 

ここまでなら自然な記述である。大逆事件がほとんどでっちあげであり、不当な思想弾圧だったことはいまでは定着した歴史認識だといえよう。万が一、そうではないにしても、その犠牲者の1人をいま出身地の名誉市民にして業績を讃え、霊を悼むことには誰も異議はない。ところがこの朝日新聞コラムはその歴史を自分たちの政治的主張にあからさまに利用するのだ。

 

コラムは次のように述べていた。

 

 ≪「ある日突然親族まで石もて追われるようになった。そういうことが今後も起きないとは限らない」。市議会で名誉市民の提案をした一人、上田勝之さんは言う。「共謀罪」法、そして改憲への動きが背中を押したようだ≫

 

日本のいまの政治だと、大逆事件のような弾圧、大石誠之助氏の痛ましい処刑が起きかねない、というのだ。そして同コラムは「共謀罪」法と改憲への動き、をあげる。こうしたいまの日本での動きがこの名誉市民提案への直接の動機となったのかどうか。コラムはそう明言するが、その提案をした上田勝之さんという人が本当にそこまで具体的に語ったのかどうかは不明である。

 

「共謀罪」法とはすでに日本国内での民主的な手続きにより国会で可決され、2017年7月に実際の法律となった「改正組織犯罪処罰法」のことである。朝日新聞など、この法律に反対するメディアは一貫して、その正式の法律名を無視し、勝手に「共謀罪」法と呼んできた。

 

だからこのコラムの主張は明らかである。改正組織犯罪処罰法や憲法改正への動きは大逆事件での国民弾圧と同じだ、というのだ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください