政府批判ツイートで記者強制退去 インドネシア麻疹問題
Japan In-depth / 2018年2月7日 17時59分
大塚智彦(Pan Asia News 記者)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
【まとめ】
・インドネシアパプア州で2017年から子供の栄養失調拡大、麻疹が蔓延。
・BB記者が現地取材中支援物資は「インスタント麺、甘いソフトドリンクにビスケットしかない」とツイート。
・これに国軍が「政府の支援活動の真実を反映していない」と猛反発。移民局が記者を同州から強制退去させた。
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インドネシア東部、ニューギニア島にあるパプア州から英放送局BBCの記者ら3人が首都ジャカルタに強制退去させられる事件が起きた。
図)インドネシア東部 ニューギニア島パプア州
出典)パプリックコモンズ LocationPapuaNewGuinea.svg
パプア州で2017年から続く子供たちの栄養失調の拡大、麻疹(はしか)の蔓延などを取材していたところ、記者が個人的にツイッターに掲載した写真とコメントが「事実と異なる」として現地のインドネシア国軍が強く反発。その結果移民局がBBC記者らの旅券を取り上げて取材を禁止、州外に強制的に退去させる措置を取ったのだ。
現地やジャカルタ地元メディアなどによると、BBCジャカルタ支局のオーストラリア国籍のレベッカ・アリス・ヘンシュケ記者ら3人は、パプア州アスマット県でこの4カ月に子供約60人が栄養失調や麻疹で死亡したとの報道があり、その実情を取材していた。ところが2月1日にレベッカ記者がツイッター上に取材時の写真とコメントをアップ。
写真)BBCジャカルタ支局 レベッカ・アリス・ヘンシュケ記者
出典)@rebeccahenschke
「飲み物と食料ボックス」の写真に「これがパプアで栄養失調の子供たちに支援物資として配られているもので、インスタント麺、甘いソフトドリンクにビスケットしかない」とコメントした。
■ ツイッターに国軍が反発
これに対し現地で救援活動を支援している国軍が「写真の飲み物と食料は支援物資ではなく、地元で市販されているものでたまたまそこにあったに過ぎない。政府の支援活動の真実を反映していないこうした情報発信は問題である」と猛反発。移民局も「こうしたツイートはインドネシア政府だけでなく、インドネシア人全体への侮辱である」として移民局現地事務所が3人を呼び、旅券を一時没収し、以後の取材活動を禁止する措置を講じた。地元警察の事情聴取後に同州から強制退去させたという。
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