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ISはイスラムのオウム イスラム脅威論の虚構 その2

Japan In-depth / 2018年2月8日 10時50分

ワッハーブ派の教義を煎じ詰めれば、自分たちだけが真のムスリムだ、というところに帰着するのであって、シーア派などは、キリスト教徒などと同列の異教徒であり、したがってジハード(聖戦)を仕掛けてもよい、というものである。

このワッハーブ派は、アラビア半島内陸部の豪族であったサウド家との結びつきが強く、サウド家が後に半島の大部分を統一してサウジアラビアを建国した後も、国教の地位を得ている。どちらかと言うと、王家が国富を独占していることに対する庶民の不満をそらすために、ワッハーブ派への支援を続けていると見られているが。

あのオサマ・ビンラディンも、かつてはワッハーブ派の信徒であったとされている。

▲写真 オサマ・ビンラディン氏 出典:photo by Hamid Mir

「中東で、本当に民主的な選挙を実施したら、サウジでは〈ビンラディン大統領〉が誕生しかねない」などと言われたが、あながち妄言と決めつけられないのだ。

いずれにせよ、イスラム原理主義と呼ばれる人たちは、軍事力の裏付けがあったからイスラムの勢力が大きくなり得た、と歴史を総括はしても、そこからなにを学ぶべきであったかが分かっていない。前にも述べたことだが、どこかの都市を急襲して支配下に置き、交通路を確保して「イスラム国」の領土を広げ、最終的には全イスラムの失地回復=スペインからパキスタンまでを支配する、などという戦略をとったなら、ハイテク兵器を揃えた側に太刀打ちできないのは理の当然である。信仰で軍事的な力関係を逆転などできないことは、18世紀にすでに立証されているではないか。

しかも支配地においては、異教徒や同性愛者を皆殺しにしてもよい、としている。かつてのイスラムの支配地域では、異教徒もジズヤと呼ばれる人頭税さえ納めれば信仰の自由は保障された。

かつて日本でも、本来は魂の救済を意味する「ポア」という単語を、自分たちの利益のためには人の命を奪ってもよい、と曲解し、実際に幾多の殺人事件を引き起こした教団があった。その名をオウム真理教と言う。

規模の違いこそあれ、イスラム過激派と呼ばれる人たちがやっていることも、これと変わらない。手前勝手な「教義」をかざして世界の平和を乱す者たちに未来などないし、なによりも、寛容の精神を保つ一般のムスリムにとって、迷惑以外のなにものでもない。

(この記事は イスラムと縁遠い日本 イスラム脅威論の虚構 その1 の続きです)

トップ画像:イラク軍、クルド人治安部隊「ペシュメルガ」らと共にイスラム国を攻撃する米陸軍第82空挺師団  イラク・モスル2017年7月6日 出典 U.S. Department of Defence, Army photo by Sgt. Christopher Bigelow

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