トランプ政権の正しい読み方
Japan In-depth / 2018年2月10日 15時52分
そのエッセイの一部は以下のようだった。
≪トランプ大統領は暴露本の「ネタバレ」に耐えられない。元首席戦略官で袂を分かったスティーブ・バノンに、ロシアゲートで愛娘イバンカの夫やジュニアが「売国的」と批判されたくだりがあるからだ。情報源のバノンを「職も正気も失った」とツィートで罵倒した≫
≪大統領周辺は一気に「バノン離れ」に走りだした。イデオロギーの支柱を失ったトランプは、正気に戻るだろうか。否、残ったのは気まぐれとネポチズムだけだ。身内以外は誰も信じられないのだ。
ネタバレのドタバタ劇の後に待つものは、同じアガサ・クリスティーの別作品だろうか。
そして誰もいなくなった…≫
以上のような情緒的な一文が意味するところはトランプ大統領が1月に出た暴露本で回復不可能の打撃を受け、まったく孤立してしまう、あるいは辞任してしまう、という予測である。
ところがこの暴露本はトランプ大統領にもトランプ政権にも政治的にはなんの実害も及ぼさなかった。政権が揺らぐような気配はまったくなかったのだ。「誰もいなくなる」という現象は起きなかったのだ。それどころか現実にはトランプ大統領は1月30日の連邦議会上下両院での初めての年頭の一般教書演説ではそれまでよりずっと多くの超党派の支持を得たのだった。
▲写真 一般教書演説を行うトランプ大統領 flickr : The White House
トランプ大統領はこの演説で、共和・民主両党に対し移民問題やインフラ投資法案で歩み寄るよう呼びかけた。野党の民主党側からも意外なほどの拍手がわいた。そしてアメリカ国民一般からもこの教書演説への賛同が驚くほど多かった。CBSテレビの世論調査では一般国民の75%が「トランプ大統領の一般教書演説を支持する」と答えたというのだった。
「そして誰もいなくなる」という日本の雑誌でのご託宣とはあまりに異なる現実があらわとなったのである。
トップ画像:一般教書演説を行うトランプ大統領 flickr The White House
この記事に関連するニュース
-
バカげた閣僚人事にも「トランプの賢さ」が見える...今後を占う「6つのポイント」
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月21日 15時4分
-
アメリカの歴史に名を残す「トランプはこの100年で最も力強い政治家に」地滑り的勝利には理由がある
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月18日 17時18分
-
「予測不能な男の再登板」ウクライナ・ガザ・中台・朝鮮半島・・・世界の安全保障の気になる行方は?
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月13日 14時16分
-
トランプ前大統領の圧勝とその教示
Japan In-depth / 2024年11月7日 23時21分
-
第二次トランプ政権はどこへ向かうのか?
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月7日 21時20分
ランキング
-
12025年に思い出が消える!?「ビデオテープが見られなくなる」問題【THE TIME,】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月27日 9時0分
-
2東京・文京区のマンション火災で2人死亡、火元は猪口邦子参院議員宅…夫と娘1人と連絡取れず
読売新聞 / 2024年11月28日 1時11分
-
3輪島市など震度5弱、住民不安「電柱倒れるのでは」…元日とは別の断層の可能性
読売新聞 / 2024年11月27日 21時54分
-
4国民民主・玉木氏、異例の官邸訪問=石破首相に原発新増設を要望
時事通信 / 2024年11月27日 20時9分
-
5出品者に情報提供求める=アマゾンジャパンの独禁法違反―公取委
時事通信 / 2024年11月27日 19時31分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください