インドネシア、刃物男教会襲撃 宗教対立激化
Japan In-depth / 2018年2月14日 16時57分
インドネシアの各メディアは11日正午前から一斉にこのキリスト教会への襲撃事件のニュースを流しはじめ、死者がいなかったにも関わらず、大きく扱った。
■ 相次ぐ宗教間の事件
マスコミがこの事件に注目する背景には最近インドネシアで続発している異なる宗教間の事件がある。
2018年1月に西ジャワ州バンドンでイスラム教の聖職者が朝の祈りの最中に、暴漢に襲われる事件が起きた。警察は捜査の結果、犯人は精神障害の疑いがある人物で政治的背景はないとの見方を示した。
また2月に入ってからは首都ジャカルタの西郊バンテン州のタンゲランでイスラム教徒の集団が仏教僧を脅迫する事件が起きている。仏教僧が自宅を違法な宗教施設として使用していたことに周辺のイスラム教徒らが騒いだのがきっかけだった。
介入した地元警察が調べたところ、たまたま仏教僧の自宅を訪れた知人の仏教徒と一緒に祈りを捧げただけだったことが判明。マスコミを前に僧侶、イスラム教関係者、警察官が並んで「問題は平和裏に解決した」とわざわざ公表して事態の沈静化を図ったのだった。
こうしたイスラム教徒とキリスト教徒、仏教徒という異なる宗教間での事件は、かつては12月のクリスマスの時期にキリスト教会が襲撃されたり、些細な事件をきっかけにイスラム教徒とキリスト教徒が対立したりする事件がアンボンやカリマンタン、東ジャワなどで頻発していた。しかし、庶民派のジョコ・ウィドド大統領が2014年に就任して以来、大規模な衝突や事件に発展するケースは稀だった。
写真)ジョコウィドド大統領
出典)JokoWidodo Twitter
今回のミサ襲撃をインドネシアのマスコミがこぞって取り上げたのは、今年2018年から2019年にかけてインドネシアは統一地方首長選挙、国会議員選挙、そして大統領選挙と一連の重要な選挙が行われる政治の年であることとは無縁ではない。政治が動く時期には宗教間の問題が大きく影響してくるからだ。
■ イスラム教を無視できない政治情勢
インドネシアは約2億5千万人という世界第4位の人口のうち約88%がイスラム教徒という世界最大のイスラム人口を擁する国である。国家としてイスラム教を国教とはせず、キリスト教、ヒンズー教、仏教なども認めることで民族間の寛容と共存を掲げてきた。
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