急げ「専守防衛」の見直し
Japan In-depth / 2018年2月22日 18時0分
▲写真)中谷元氏 出典)中谷元公式ウェブサイト
同年3月29日、中谷氏の前任の党安保調査会長として小野寺五典氏(現防衛相)が、「敵基地反撃能力」の保有を政府に提言したが、その際は、あくまで拒否的抑止力の一環という位置づけだった。
▲写真)小野寺五典氏出典)小野寺五典公式ウェブサイト
小野寺氏はこう言う。「発射する前、あるいは発射直後のスピードの遅い時が一番撃ち落としやすい。北朝鮮の領土、領空になるが、そのために必要な装備は持ってよいのではないかというのが党の提言である」。
敵のミサイルを破壊する場所が日本の領域内か敵の領域内かという地理的違いはあるが、コンセプトとしては「特定の攻撃的行動」の「物理的阻止」にとどまる拒否的抑止力というわけである。
小野寺氏はこうも付け加えている。「北朝鮮のミサイルをミサイル防衛で防いだとして、2、3発目を撃たせないために策源地に反撃して無力化することが大変重要だ。今は米軍が敵基地反撃能力を担うが、日本も保有を検討する必要がある。…北朝鮮への対応は災害と同じぐらいの緊急性を持つという問題意識で、政府には速やかな対応を求めたい」。
この提言自体、一歩前進ではあった。防衛相就任以来慎重発言が目立つが、小野寺氏にはもっと議論をリードしてもらいたいところだ。
さて、先に引いた中谷発言は小野寺提言より大きく前に踏み出したものである。現在日本は、敵に「耐えがたい打撃を加える」懲罰的抑止力をアメリカに完全に依存している。しかし、「米国がニューヨークやロサンジェルスを灰にする危険を冒してまで、日本のために応戦してくれるだろうか」という疑問は、北朝鮮の核ミサイル開発の進展や米中相互依存関係の深まりとともに日ごとに大きくなっている。
この疑問を、「アメリカはその都市を灰にする危険を冒しても日本のために応戦して欲しい。日本自身は応戦しないが」と言い換えてみれば、日本の対米期待がいかに過大かつ身勝手なものであることが分かるだろう。
ちなみに2017年11月29日未明に北朝鮮が全米を射程に収める「火星15号」ミサイルの発射実験を行った直後、韓国は、北の指令部を標的とした攻撃ミサイルの実射訓練を行っている。いわば、「ソウルを灰にする危険を冒してもアメリカのために応戦する」気概を示したわけである。米メディアも好意的に報じた。一方日本はというと、例によって「強い抗議」を行ったのみであった。
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