何のための東京五輪?その1 東京都長期ビジョンを読み解く!その57
Japan In-depth / 2018年3月4日 9時48分
西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)
「西村健の地方自治ウォッチング」
【まとめ】
・都の五輪関連予算は3,283億円。都民1人23,876円の負担。
・都民のスポーツ実施率は56.3%にすぎない。
・一過性のイベントでなくスポーツを楽む人を増やす等新しい価値を提起すべき。
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■ 平昌五輪NEXT
▲写真 NHK名古屋放送局に飾られたマスコット:西村撮影
感動を与えてくれた平昌五輪。日本五輪代表のなかで、東京都出身者はなんと5人もいる(雪国でもないのに)。中でもモーグル原大智さんは、東京都出身者初の冬のメダリストになった。そのほかの方も、ナショナルトレーニングセンター、東伏見のアイススケート場など東京都に何らかの関係、なじみはあるはずである。
トップアスリートがいかに厳しいトレーニングで自分を追い込み、技術を取得し、プレッシャーと闘い、悲哀と苦労を克服してきたか。こうして世界の舞台に立ち、活躍するにはどれだけの我慢と忍耐を日々積み重ねなければいけないのか、想像することは難しい。
よくギャグに滑る私もスケート経験があるが、五輪選手の超人的なプレーを見て、どれほどプレーが大変なのかを知っている。みなさん、四回転半ジャンプがどれほど大変か。普通に部屋の中でやってみてみたらいいと思う(とても難しい)。
こうした熱狂も終わり、次の五輪は東京になる。カウントダウンが始まっていく。
■ 都民1人あたり23,876円
東京の現実に話を戻すと、東京都は議会に予算を提出した。東京都の30年度予算、一般会計の予算規模は7兆460億円。産経新聞の記事によれば、2020年東京五輪・パラリンピック関連では、会場整備などに983億円を計上したとされる。
単年度ではなく大きな視点で予算を見ていこう。まずいえるのは、五輪のために、これから1.4兆円!必要だということだ(以下、図1参考)。細かく見ていこう。
大会経費1兆3500億円のうち、都負担分が6,000億円で、これは施設の整備にあてられる。そのほか、⼤会に関連する事業として、都は約8,100億円を負担する。これらは、受⼊環境の充実(バリアフリー化、多⾔語化)、各種ボランティアの育成・活⽤、教育・⽂化プログラム など、都市インフラの整備(無電柱化等)、観光振興、東京・⽇本の魅⼒発信などに使われる。
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