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メイド虐待死で関係悪化 インドネシアvsマレーシア   

Japan In-depth / 2018年3月8日 13時53分

 

こうしたことからアデリナさんの遺体が戻った出身地の東ヌサテンガラ州クパンの警察は、現地の非公式業者の男女の身柄を拘束して調べを続けている。

 

■ 事態改善求め外交文書を発出

 

 非公式業者の仲介とはいえ、マレーシアの雇用主によるアデリナさんへの虐待は明らかで、インドネシア政府は事態を重く見てマレーシア政府に外交文書を発出した。文書では事件を「悲劇的な出来事」としたうえで①同様事案の再発防止②容疑者への公正な法の裁き③マレーシアで働くインドネシア人労働者の人権保護などを求めている。

 

 インドネシア政府労働者派遣保護庁によると、2017年にマレーシアに派遣されたインドネシア人労働者は88,991人に上る。女性は家政婦、男性は肉体労働者として働いているが、同年だけで69人が出稼ぎ中に死亡している。

 

 マレーシアでは約25万人の女性が家政婦として働いているがその大半がフィリピン人とインドネシア人の女性で、イスラム教徒であることやマレーシア語とインドネシア語が酷似していることからインドネシア人女性の家政婦の人気が高いという。

 

 だが、マレーシア人雇用主、中でも中国系マレーシア人による家政婦への暴力、虐待の事例が後を絶たず、2018年だけですでにアデリナさんを含めて8人が死亡する事態となっている。

 

 マレーシアの首都クアラルンプールにあるインドネシア大使館のルスディ・キラナ大使は「ジョコ・ウィドド大統領に対し、メイドのマレーシア派遣の一時中止を進言する」と強硬姿勢を見せている。インドネシアは過去にも同様の虐待事件を受けて2009年に派遣の一時停止を決めたものの、2011年から再開した経緯がある。

 

現在、両国間では2016年から新たな労働者派遣に関する取り決めの合意に向けた調整が続いているが「マレーシア側は全然(合意に)前向きではない」(ルスディ大使)ことから最終合意に至っていないという。

地図)インドネシアとマレーシアの位置関係
出典)GoogleMap

 

■ 嫉妬などの心理的要因も

 

 インドネシア人の間には、多くの肉体労働者、家政婦がマレーシアに出稼ぎに行くという現状について「マレーシア人労働者がインドネシアに出稼ぎにくるケースはほとんどないのに、なぜインドネシアからは出稼ぎにいくのか。我々はマレーシアより貧しいのか」という感情的なしこりも問題の背景にはある、とインドネシア人記者は説明する。

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