北朝鮮の譲歩は本物か
Japan In-depth / 2018年3月9日 11時12分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視 」
【まとめ】
・北朝鮮の核兵器開発問題における譲歩姿勢は戦術的な作戦。
・ワシントンの大手研究機関のCSISが報告書は進展を否定。
・アメリカと韓国の政策調整が重要となる。
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北朝鮮の核兵器開発問題での大幅譲歩とも受け取れる言明は本当に核放棄の意向表明なのか。アメリカとの対話に応じるという態度は本物なのか。ワシントンの大手研究機関の戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ朝鮮研究部長らが3月7日、見解を発表した。その見解をまとめれば、北朝鮮の最近の言動はなお真実の譲歩ではなく、戦術的な作戦のシフトにすぎない可能性が高い、という受けとめ方である。
朝鮮情勢では韓国大統領府の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長が3月6日の記者会見で韓国と北朝鮮の両首脳の会談開催を発表するとともに、以下の諸点を韓国の北朝鮮訪問団が北側から直接に得た情報として公表した。
写真)鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長
出典)パブリックドメイン
・北朝鮮は朝鮮半島非核化の意思を明確にし、北朝鮮への軍事的脅威が解消されて体制の安全が保証されれば、核を保有する理由がない点を明確にした。
・北朝鮮は非核化問題の協議と米朝関係の正常化のため、米国と虚心坦懐に対話をする用意があると表明した。
・北朝鮮は対話が持続する限り、新たな核実験や弾道ミサイル発射実験など戦略的な挑発をしないことを明確にした。
以上はあくまで韓国側の発表である。北朝鮮当局が直接に表明した方針でも政策でもない。金正恩委員長らと会談をしてきた韓国政府要人たちの言明なのだ。とはいえ文字通りに読めば、北朝鮮が核兵器の放棄をも示唆したという点で画期的な方針転換とも響く。大幅な譲歩として映る。さてそれをどう読めばよいのか。
北朝鮮の核問題に正面から取り組むワシントンの大手研究機関のCSISで朝鮮情勢、とくに北朝鮮の動向を詳しく追って、研究している朝鮮部はいち早く3月7日、同部長のビクター・チャ氏と同部研究員リサ・コリンズ氏の連名で「北朝鮮問題での大進展なのか」と題する報告書を発表した。
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