南北「非核化ショー」に惑わされるな
Japan In-depth / 2018年3月9日 12時30分
朴斗鎮(コリア国際研究所所長)
【まとめ】
・金正恩委員長は文在寅親北政権を本格利用する道に踏み込んだ。
・米国と戦えない北朝鮮はこの道を選ぶしかなかった。
・米国がやるべきは、北朝鮮に核を完全放棄させること。
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米国の軍事的圧力と経済制裁の強化、そして国際的孤立で行き場を失った金正恩委員長は、窮地から脱するために、3月6日、韓国側特使に対して「南北首脳会談」のカードを切った。
「非核化」を匂わせ、文在寅親北政権を本格利用する道に踏み込んだ。時間稼ぎと資金稼ぎのためだが、このストーリーは、過去における「窮地からの脱出法」のデジャブとも言えるもので別に驚くことではない。
写真)北朝鮮金正恩委員長との会食に臨む鄭義溶(チョン・ウィヨン)韓国国家安保室長ら。2018年3月5日
出典)韓国大統領府
筆者は、戦争直前まで追い詰め、制裁を強化すれば北朝鮮は必ず「和平」に出てくるとして、経済制裁だけでなく軍事的圧力強化を同時に進めるトランプ政権の対北朝鮮政策を是としてきた。今回の金正恩の出方は、この方法が正しかったことを証明した。二言目には「戦争」を口にして強がりをいったものの、米国と戦えない北朝鮮の現状ではこの道を選ぶしかなかったのだろう。
「制裁は効いていない」「圧力では対話に出てこない」「対話で解決しなければ戦争になる」などと主張してきたいわゆる「専門家」「ジャーナリスト」が、いかに金正恩政権の実態を覆い隠し、北朝鮮核問題の解決を妨害し、時間を浪費させてきたかが明らかになった。この人達は、朝鮮半島における過去の南北関係の歴史も、世界における反独裁、反テロ闘争の歴史も十分に研究してこなかった人たちだといえる。
金正恩はヒトラーと同様、国民を恐怖政治で抑圧し、国際社会に対しては、戦争の恐怖、核の恐怖をばらまくことで生き延びてきた政権だ。戦争を恐れると彼の術中にハマることになる。戦争を恐れる宥和政策がいかに悲惨な結果をもたらしたかは、ヒトラーに対する宥和策で失敗した英国首相ネヴィル・チェンバレンを見れば明らかだ。
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