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小泉元首相とカーター元米大統領の差

Japan In-depth / 2018年3月16日 17時0分

続いて主流メディアの報道姿勢に触れ、「メディアは、過去のどんな大統領よりもトランプにきつく当たってきた。何を言っても構わないという感じで、精神異常だ何だと平気で口にする」とその行き過ぎをたしなめる。

さらに全米各地で進む「差別的」な記念像の撤去について、「(南北戦争時の)南部関係者の銅像撤去が続いているが、私にとっては難しい問題だ。私の曾祖父は、ゲティスバーグの戦いを南部側で戦った。私は、ストーン・マウンテン(カーター氏の地元ジョージア州にある。山腹に南軍のリー将軍ら3人の像が彫られている。)に人種差別的意図を感じたことは一度もない。黒人たちの嫌悪感は分かるが、しかるべき説明文が付されていれば問題はないと思う」と語る。

▲写真 ジョージア州ストーンマウンテン 山腹の彫刻 Photo by KyleAndMelissa22 Public Domain

米左翼勢力は、ワシントンやジェファーソンら「建国の父たち」に関しても、奴隷所有者であったことなどを理由にその顕彰は問題だとする。

▲写真 トーマス・ジェファーソン 出典 Whitehouse portrait gallery

▲写真 ジョージワシントン 出典 パブリックドメイン

一方保守派にとっては、独立宣言を起草したジェファーソン、独立戦争の最高司令官、憲法制定会議の議長、初代大統領を務めたワシントンはまさに保守すべき建国精神のシンボルである。銅像問題の背後には、アメリカという国家の正統性をめぐる尖鋭な政治闘争がある。

なお、奴隷解放と国家統一を象徴するリンカーンについても、解放後の黒人たちをアフリカに戻す案に賛成していたとして、その意識の不十分を批判する声が左翼方面にある。

一方、昨年、像の撤去を巡ってデモ隊同士が衝突、死者を出す騒ぎにもなったリー将軍については、故郷バージニアが南部連合に属したため南軍を率いる運命となったものの、本人は分離運動に強く懐疑的で、戦後は南北の融和に尽くしたと一定の評価を与える史家が多い。

カーター発言は、リベラル派の同志たちに、自国の歴史をより慎重に見つめるよう説いたものと言えよう。

▲写真 ロバート・E・リー将軍像(アメリカ合衆国バージニア州シャーロッツビル) 出典 photo by Cville dog

カーター氏はまた、2016年来、相当数のプロ・フットボール(NFL)選手が、警察の人種差別への抗議などとして、試合前の国歌演奏時に片膝を付いている問題に関し、「彼らは別の形で抗議すべきだと思う。国歌が流れる間はすべての選手が起立している姿を見たい」とも述べる。

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