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国力落ちた日本、アジア特化目指せ

Japan In-depth / 2018年3月17日 19時31分

こうした傾向はソニーだけでなく他の企業にも蔓延し、自動車や家電産業、IT産業にも新しい技術、発明、製品が出なくなってしまった。この間、米国などではアップル、グーグル、フェイスブックなどの新製品や新サービスが次々と生み出され、自動車業界でもテスラなどの電気自動車やIT企業と協同した新しい製品、産業を次々と生み出し始めている。中国でもAIやインフラ、宇宙などへの進出が目覚しい。日本はいつの間にか世界の新市場を開拓する国力や気概を失ってしまったかのようだ。

■ 企業の基礎研究、新陳代謝に遅れ

昨年11月1日に日本経済新聞がまとめた「日本の革新力」によると、新産業を生み続けるアメリカや急成長する中国に押され、社会や産業を変革する人工知能などイノベーションの力が衰えていることを特集していた。

2016年の日本を100とすると、日本は1.06倍で最下位にあり、中国は6.34倍、韓国は2.08倍、ドイツが1.32倍、アメリカが1.24倍で日本は殆んど留まったままだ。

また応用開発力でも、国際特許の出願件数をみると日本は67%増ながら、中国は11倍に増え18年までに中国に追い抜かれるとみられている。さらに上場企業の営業利益合計(稼ぐ力)でもアメリカ28%増、中国7.3倍、ドイツ54%増、韓国66%増に対し日本は11%増と5ヵ国の中では最低となっている。株式公開から10年未満の企業の時価総額からみた産業の新陳代謝力でもアメリカ50%増の4.3兆ドル、中国6.3倍増の2.8兆ドルに対し、日本は51%減の5543億ドルと半分に減っているという。

■ アベノミクスも国力増に結びつかず

一方、この5年間の安倍政治をにぎわしたアベノミクスの成果の実状はどうか。まず労働力人口(15歳以上の就業者と失業者の合計数)はリーマン・ショック時の08年とほぼ同じだが、正規雇用は43万人減少、雇用者数は安倍政権下の4年で230万人(16年末で)増えているが、うち207万人は非正規労働者なのだ。

▲写真 安倍内閣総理大臣の年頭記者会見(平成30年1月4日)出典 首相官邸

また名目GDPは50兆円増え、過去最高の543兆円となったとしているが、物価上昇の影響を目標値から差し引いた実質GDPの増加率はリーマン前の水準を下回っており、名目GDPのドル換算率では4.4兆ドルで全体に占める割合は5.9%で、12年比では2.3ポイント下落している。賃金も上がっておらず、実質生活は停滞しているため消費景気に結びついていないのである。

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