国力落ちた日本、アジア特化目指せ
Japan In-depth / 2018年3月17日 19時31分
目ざましくみえた安倍外交の国際評価も芳しくはない。国際競争力ランキングは、GDP第3位の大国だが16年8位、17年は9位、GDPに占める教育支出の割合も16年32位。17年34位と高くないし、温暖化対策ランキングにいたっては16年60位、17年50位、世界幸福度ランキングも16年53位、17年51位、18年54位で、報道の自由度ランキングは16年72位、17年72位といずれも低いのが実状なのである(17年12月22日毎日新聞、18年3月15日毎日新聞より)
▲図 国際競争力ランキング(2017年度) 出典 WEF
■ 女性活躍時代も今ひとつ
また「すべての女性が輝く社会」をスローガンにしている安倍内閣だが、政治や経済、教育、健康の4分野での女性の地位を分析し数値化した順位では144か国中114位と散々だ。女性閣僚もわずか2人。約半数を占める北欧諸国と比べると話にならない。安倍首相は昨年6月の国際会議で「私が政権に復帰してからの4年間で働く女性は150万人増え、出産後も働く女性は初めて5割を超えた」と述べたが、日本が人口減少時代に入り女性労働を必要としているためで、実態は相変わらず安い労働力として使われているとみなす分析が多い。
■ 国民の将来不安は消えず
安倍政権では、16年度に539兆円だったGDPを20年までに600兆円にしたいとしているが、GDPが増えて社会保障費が増えているかといえば必ずしもそうなっておらず、自己責任で将来不安に備えて欲しいというのが政策の実態だろう。これでは経済が成長しても将来不安はなくならず、国民は低い預金金利にも関わらず、消費よりも預金に走っているのが実状だ。
▲写真 平成29年11月1日に発足した第4次安倍内閣 出典 首相官邸
安倍政権は外交に力を入れ、政権発足以来100ヵ国を越える国々をまわり、日本の存在感をアピールしてきた。日本を訪れた外国首脳や多国間協議の合間に行なった二国間首脳会議を数えると、おそらく300回前後にわたり外国首脳と会議を行なっている。しかし、首脳会議の数をこなしたからといって日本の存在感が増しているわけではない。
外国紙などの調査によると日本の世界における存在感は30-50位程度というのが多い。アメリカとの絆は深いがアジアやEUとの関係は、1970~90年の高度成長期に比べるとずっと低い。高度成長期は欧米の経済は停滞していたし、アジア諸国もまだ低開発国の域を脱していなかったので、高度成長をひた走っていた日本が眩く見え、それだけ存在感も大きかったのだろう。
▲写真 日米間首脳会談(平成29年9月21日) 出典 首相官邸
■ アジア特化を目指せ
いまや並みの中堅国家になりつつある日本が世界で再び輝くにはどうすればよいか、真剣に考える時だろう。もはや高度成長の国としての存在感を持てないとしたら何を特長として生きてゆくか、少なくとも「アジアのことは日本に聞かないと実情を知ることができない」というようなアジア特化こそが日本の目指す方向ではなかろうか。
トップ画像:シンガポールの街並み Photo by Cegoh
【訂正】本記事、以下の部分を修正致しました。(2018年3月19日 12時15分)
■ 女性活躍時代も今ひとつ
誤:女性閣僚もわずか3人。
正:女性閣僚もわずか2人。
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