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何のための東京五輪?その3 真の復興五輪たれ 東京都長期ビジョンを読み解く!その59

Japan In-depth / 2018年3月21日 23時29分

▲写真 建設中の国立競技場 2018年2月 Photo by 晴耕雨読 @黄昏の番犬 さん

 

■ 結果オーライじゃない五輪を。どこまで議論されたレガシー?

レガシー、つまり、遺産。

アクション&レガシープランによると、2020年大会は「東京・日本がオリンピック・パラリンピックとどう向き合うか」、そして「復興に寄せられた世界中からの支援にどう感謝の意を示すか」「スポーツが復興・社会に寄与する姿をどう発信するか」等が問われるそうだ。

「結果オーライではなく、早い段階から、東京2020大会を、東京・日本にとってどのような意義のある大会とするのか考えていく必要があるのではないか」(P6)という問題意識が記載されている。まさにそう。本当に素晴らしい。

「できるだけ多くの人が参画し、多くの分野で東京2020大会がきっかけとなって変わったと言われるような、広がりのある大会となるようにする」という記載にも賛同する。レガシーを1つ取り出し、細かく見てみよう。

▲図2 レガシー「スポーツの力でみんなが輝く社会」(P28)

①:誰もがスポーツを「する・観る・支える」社会に向けたレガシー:

「スポーツ参画人口が拡大」「『スポーツ』関連の産業分野が振興」「健康な人が増加」

②:アスリートが活躍する社会に向けたレガシー:

「アスリートの『総合力』が向上」「競技(スポーツ界)以外で社会の様々な場で幅広く活躍」「スポーツ・インテグリティ(スポーツの高潔性)保護の認識や取組が向上」

③:パラリンピックを契機とした共生社会に向けたレガシー:

「障がい者スポーツに対する認知度が飛躍的に向上し、ファンや支え手となる人が増加」「障がいのある人もない人も、身近な地域で日常的にスポーツに親しむことのできる環境整備が進展」「障がい者への理解が深まり、ハード面のバリアフリー化だけでなく、『心のバリアフリー』が浸透し、共生社会の礎を形成」

レガシー「スポーツの力でみんなが輝く社会」は3つのレガシーから構成されるようだ。前回東京五輪の「ハード」と比較して「ソフト」のレガシーなのだろう。しかし、全く意味不明だ。

単なる政策目標や事業成果みたいなものが並んでいて、中には「飛躍的に向上」とか希望的観測の文言もある。共通の価値観・理念、スポーツの価値や意味が語られていない。さらに、価値観的な文言がみられるが、国民栄誉賞のレジェンドがパワハラにあっているという内閣府への告発があったり、“国技”の相撲で横綱が引退せざるをえない暴力事件が起きたり、そんな事態が多発する日本のスポーツ界の現状で、「スポーツの高潔性」という言葉はむなしく響くだけだろう。

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