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何のための東京五輪?その3 真の復興五輪たれ 東京都長期ビジョンを読み解く!その59

Japan In-depth / 2018年3月21日 23時29分

その他のレガシーを見ても、レガシーがどこまで議論されているのだろうか疑問である。今からでも遅くない、国民的対話・議論をすべきだと個人的には思う。

 

■ サスティナビリティ五輪までの道のりは遠い!

オリンピックの精神とは「スポーツを通して心身を向上させ、文化・国籍などさまざまな違いを乗り越え、友情、連帯感、フェアプレーの精神をもって、平和でよりよい世界の実現に貢献すること」だ。

「スポーツ」と「文化」に、近年「環境」が加わり、オリンピックは世界中の人々が地球環境について考える機会にもなったとされる。この3つ目の柱とされる環境、特に「サスティナビリティ(持続可能性)」を重視することの重要性が増している。

レガシーとしても「持続可能な低炭素・脱炭素都市の実現」、「持続可能な資源利用の実現」、「水・緑・生物多様性に配慮した快適な都市環境の実現」、「人権・労働慣行等に配慮した社会の実現」、「持続可能な社会に向けた参加・協働」が明記されている。

しかし、ロンドン、リオデジャネイロ五輪でのサスティナビリティの取組み(以下図3)と比較するとかなり遅れている。相当努力しないとレガシーとして残るのか、微妙だと言わざるを得ない。

▲図3 サスティナビリティの取組み *西村作成

それは木材。新国立競技場建設において、環境破壊や人権侵害の疑いのある熱帯材(マレーシア・サラワク州の、面積が減少しつつある熱帯原生林で違法伐採されたもの)を使用したと環境NGOから批判を受けたのだ。

▲写真 マレーシア ボルネ オサバ州で、大規模なアブラヤシプランテーション開発により浸食される熱帯雨林 Photo by T. R. Shankar Raman

サラワク州の伐採業者シンヤン社は貴重な原生林を組織的に伐採し、先住民族の人権侵害につながっている疑いがある。そもそも、日本は世界最大の熱帯合板の輸入国であり、日本の輸入合板の約9割はマレーシアとインドネシアから輸入している。(2016年木材輸入実績)建設現場で使われるコンクリートパネル用の合板の大半はマレーシアのサラワク州から供給され、合板はいかなる持続可能性基準も満たしてはいないとされる。

しかし、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は「持続可能性に配慮した木材の調達基準」を制定し、使用木材については、「実現可能性を確保するために木材貿易の実際のビジネス慣行を考慮」すると説明。NGOの懸念に対してきちんと対応できていない。そして、この問題、先住民族リーダーが日本の安倍首相に嘆願という事態になっている。

持続可能性とか、国際基準とか、サプライチェーン、人権侵害とか、この国は国際的な基準などにおいては先進国とは言えないから仕方ない。

3.11から7年、7万人の避難生活者。「復興五輪」の意味についても意味付けできていない。正念場だろう。

トップ画像:©Tokyo 2020

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