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仏のパン屋、働きすぎで罰金

Japan In-depth / 2018年3月30日 11時0分

さらに隣村では昨年の10月にパン屋が閉店し、現在では隣村の住人までが7、8Kmの距離をかけて買いに来ている状況であり、連日営業して他の競争相手の店に悪影響を及ぼしているというよりも、むしろ、営業してくれていることに感謝されていると言ってもいいでしょう。

このパン屋がある村は2000人程度の小さな村で、住民しかいない冬季は営業していてもそれほど多くの売り上げはありませんが、夏のバカンス時期にはこの地域にある湖に多くの観光客が訪れ、一年の収入を大きくカバーする売り上げがあがることで生計を立てています。こういったバカンスによる収入の変動は観光地では珍しくはなく、小さな村のレストランでは7月と8月のみの収入で年収の60%を占めるという話も普通です。バカンス時期に可能な限りお店を開くことは人口が少ない村の観光地にとっては、なくてはならない大切な収入源になっているケースが多いのです。

▲写真 フランスパン photo by nsummer

夏季のバカンス時期に観光客にしてみても、もしこの店が営業してなければ、他の村に10Kmほどかけてパンを買いにいかなくてはなりません。ちょっと歩けばいろんなお店がそこら中に存在する日本では想像もできないかもしれませんが、フランスではこういった小さな村にはお店もないことも多く、毎日食べるパンが近くで買えることはかなりありがたいことなのです。

そんな状況の中、夏季の間は、毎日営業を認めてもらう例外許可の申請をしながら営業をしていました。しかしながら2015年と2016年の年には許可を得ることができましたが、2017年は思いがけず不許可となったのです。そこでパン組合に電話して相談したところ、口頭で夏季のみなら認められると言われたこともあり、起業時の借金や従業員への年間の給料の支払いのためや、村の人の要望もあり、背に腹を変えられず、いずれ許可が下りるだろうという見切り発進でそのまま夏のバカンス中には例年通りお店を毎日営業しましたが、結果的に認められることはなく12月に労働局から罰金の通知が来たという展開です。

罰金の通知を受けたパン屋のヴィルヴィレさんはこう主張します。

「一生懸命働く労働者にペナルティーを科す世の中であってよいのでしょうか。」村長も「パン屋が閉店してしまうよりも、毎日開いていてもらった方がいい。ここは小さい村なのですから、大きい村と同じ基準で規則を設けられても困ります。」とパン屋を擁護。同情した住民を中心に、村では法律の改正を求める署名が集められ労働局に嘆願書も出されました。手書きでの署名はすでに400件。ネット上では3000件以上の署名が集まっています。

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